消費関連企業、上半期コロナ規制緩和で回復に弾み
小売り首位SMリテールやセブンはコロナ前利益越え
2022/08/26
主要消費関連企業の2022年上半期(1月~6月)の決算発表が出揃った。新型コロナウイルス感染減少やそれに伴う2月からの外出・移動制限の段階的緩和を背景に大半の企業が増収増益、あるいは黒字転換と回復傾向を強めた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻などを背景とした原油価格や原材料価格上昇によるコスト増の影響で、利益面では伸び悩み企業もあった。今上半期の主要消費関連企業の動向は表1~表3のとおりである。既に、外食と食品関連企業はレポート済みであり、以下、小売業界について記述する。
<小売業界>
オミクロン変異株の感染拡大にともなう外出・移動制限再強化で1月は苦戦となったが、2月以降は外出・移動制限緩和で総じて回復基調となった。主要上場企業9社とSMリテールのうち、オールホームとオールデーマーツを除く8社が増収で、増益もしくは黒字転換となった。最大手のSMリテールの収入は18%増の1,637億ペソ、純利益は91%増の70億ペソに達した。そして、収入はパンデミック直前の2019年の1,698億ペソとほぼ同水準、純利益は同57億ペソを上回るに至った。
新型コロナ禍で特に苦戦を強いられてきた百貨店や高級品・贅沢品の売上比率の高い企業も黒字転換した。ルスタンで知られるSSIグループ(証券コード:SSI)は約5億ペソの黒字、メトロリテールストアーズグループ(証券コード:MRSGI)は約2億ペソの黒字となった。食料品や必需品の比率が高く、パンデミック発生後も営業制限の影響がほとんどなく好調を維持してきたピュアゴールド プライスクラブ(ピュアゴールド、証券コード:PGOLD)は引き続き増収増益であったが、規制緩和で競争が厳しくなったせいか増収率・増益率ともに鈍化した。なお、オールデーマーツが93.5%減益となっているが火災損失1億7千万ペソによるものであり、火災損失を除く税引き前利益は5%増加している。
コンビニエンスストアは、最厳格な地域隔離措置下でも営業継続を要請される業態ではあったが、これまでは移動の制限で従業員出勤や配送面での困難さという問題で一時休業を余儀なくされる店舗が出たこと、断続的な店内での飲食禁止措置発動などが響き厳しい決算が続いてきた。しかし、今上半期は外出・移動制限の緩和で急回復に転じた。業界断トツのセブン-イレブンを展開するフィリピン セブン(証券コード:SEVN)は収入が34.6%増の288億ペソ、既存店28%増収、純損益は約9億ペソの黒字で前年同期の約4億ペソの赤字から急改善、3年ぶりの黒字となった。そして、収益ともに、新型コロナパンデミック直前2019年上半期実績を上回った。
表1.PSE上場の小売企業とSMリテールの2022年上半期業績比較(単位:百万ペソ)
(出所:各事業報告書などより作成)
表2.主な外食産業の2022年上半期(1H)業績比較(単位:百万ペソ、純損益は帰属ベース)
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)
表3.主要食品・飲料メーカーの2022年上半期業績比較(単位:百万ペソ)
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)
<小売業界>
オミクロン変異株の感染拡大にともなう外出・移動制限再強化で1月は苦戦となったが、2月以降は外出・移動制限緩和で総じて回復基調となった。主要上場企業9社とSMリテールのうち、オールホームとオールデーマーツを除く8社が増収で、増益もしくは黒字転換となった。最大手のSMリテールの収入は18%増の1,637億ペソ、純利益は91%増の70億ペソに達した。そして、収入はパンデミック直前の2019年の1,698億ペソとほぼ同水準、純利益は同57億ペソを上回るに至った。
新型コロナ禍で特に苦戦を強いられてきた百貨店や高級品・贅沢品の売上比率の高い企業も黒字転換した。ルスタンで知られるSSIグループ(証券コード:SSI)は約5億ペソの黒字、メトロリテールストアーズグループ(証券コード:MRSGI)は約2億ペソの黒字となった。食料品や必需品の比率が高く、パンデミック発生後も営業制限の影響がほとんどなく好調を維持してきたピュアゴールド プライスクラブ(ピュアゴールド、証券コード:PGOLD)は引き続き増収増益であったが、規制緩和で競争が厳しくなったせいか増収率・増益率ともに鈍化した。なお、オールデーマーツが93.5%減益となっているが火災損失1億7千万ペソによるものであり、火災損失を除く税引き前利益は5%増加している。
コンビニエンスストアは、最厳格な地域隔離措置下でも営業継続を要請される業態ではあったが、これまでは移動の制限で従業員出勤や配送面での困難さという問題で一時休業を余儀なくされる店舗が出たこと、断続的な店内での飲食禁止措置発動などが響き厳しい決算が続いてきた。しかし、今上半期は外出・移動制限の緩和で急回復に転じた。業界断トツのセブン-イレブンを展開するフィリピン セブン(証券コード:SEVN)は収入が34.6%増の288億ペソ、既存店28%増収、純損益は約9億ペソの黒字で前年同期の約4億ペソの赤字から急改善、3年ぶりの黒字となった。そして、収益ともに、新型コロナパンデミック直前2019年上半期実績を上回った。
表1.PSE上場の小売企業とSMリテールの2022年上半期業績比較(単位:百万ペソ)
企業名 | 店舗数 | 収入 | 増減率 | 純利益 | 増減率 | 純利益率 |
ピュアゴールド プライスクラブ | 507 | 83,701 | 7.7% | 4,199 | 5.4% | 5.0% |
ロビンソンズ リテール | N.A. | 82,939 | 15.4% | 2,962 | 67.2% | 3.6% |
フィリピン・セブン | 3,241 | 28,630 | 34.6% | 890 | 黒字転換 | 3.1% |
メトロ リテールストアーズ G | 62 | 17,522 | 26.2% | 219 | 黒字転換 | 1.2% |
ウイルコン デポ | 76 | 16,103 | 18.8% | 1,856 | 48.8% | 11.5% |
SSIグループ | 518 | 10,051 | 56.2% | 491 | 黒字転換 | 4.9% |
オールホーム | 62 | 6,265 | -6.8% | 222 | -65.3% | 3.5% |
オールデーマーツ | 35 | 4,618 | 1.9% | 12 | -93.5% | 0.3% |
メリーマート・コンシューマー | N.A. | 2,876 | 55.9% | 32 | 96.5% | 1.1% |
SMリテール(SMICが上場) | 3,336 | 163,700 | 18.0% | 7,000 | 91.0% | 4.3% |
表2.主な外食産業の2022年上半期(1H)業績比較(単位:百万ペソ、純損益は帰属ベース)
企業名 | 店舗数(国内) | 収入 | 増収率 | 純損益 | 増減率 |
ジョリビーフーズ | 6,297店(3,239店) | 97,855 | 34.5% | 5,097 | 351.7% |
マクドナルド フィリピン | 677店(677店) | 15,417 | 30.3% | 768 | 1,467.3% |
Max'sグループ | 660店(597店) | 4,983 | 37.6% | 281 | -28.2% |
シェーキ―ズ ピザ アジア | N.A. | 4,088 | 60.3% | 250 | 1,684.8% |
フルータス | N.A. | 787 | 50.3% | 29 | 黒字転換 |
表3.主要食品・飲料メーカーの2022年上半期業績比較(単位:百万ペソ)
企業名 | 業種 | 収入 | 増減率 | 純損益 | 増減率 |
サンミゲルフーズ&ビバレッジ | 総合飲食料 | 172,122 | 17.3% | 18,758 | 8.0% |
サンミゲルビール | ビール | 64,985 | 19.6% | 10,656 | 12.1% |
ヒネブラサンミゲル | 洋酒 | 23,148 | 14.4% | 2,483 | 19.0% |
ユニバーサル ロビーナ | 総合飲食料 | 71,108 | 22.9% | 6,480 | -23.8% |
ニッシンURC | 即席麺 | 4,806 | 25.9% | 556 | 4.3% |
モンデ ニッシン | 即席麺・代替肉 | 37,172 | 10.1% | 4,252 | 黒字転換 |
センチュリー パシフィックフーズ | 総合食品 | 31,285 | 15.4% | 2,954 | 8.8% |
エンペラドール | 洋酒 | 26,403 | 6.4% | 5,303 | 3.4% |
RFM | 総合食品 | 8,466 | 17.2% | 688 | 横ばい |
アクセリウム リソーシズ | ココナッツ製品 | 3,375 | 8.8% | 421 | 32.2% |