財閥系企業による物流企業買収相次ぐ

アヤラがAir21、SMがエアスピードを取得

2022/08/31

 財閥系企業による物流企業買収が相次いでいる。物流事業は将来性が大きいし、フィリピンでもEコマースが普及しつつあり、傘下の小売り事業などにとってロジスティクス基盤拡充が不可欠と判断しているようである。

 アヤラ財閥の旗艦企業であるアヤラコーポレーション(アヤラコープ、証券コード:AC)は、8月30日、2021年に新設した100%子会社ACロジスティクス ホールディングス(ACロジスティクス)による同業買収案件手続きが完了したと発表した。ACロジスティクスは、アヤラグループのロジスティクスセクター投資企業として機能している。

 ACロジスティクスは、昨年11月、有力物流企業であるAir21ホールディングス(AHI)の主要株主との間で、AHI株式約26億株(60%)を約60億6,000万ペソで取得することで合意した。AHIは、Air21、Air21スービック、Uフレイト、Uオーシャン、インテグレイティド ウエイストマネジメントなどを擁し、ドア・ツー・ドア・サービス(複合一貫輸送)、国際および国内の貨物輸送、倉庫保管、廃棄物ロジスティクス管理などの広範なロジスティクスサービスを提供している。

 フィリピン競争委員会は(PCC)は、上記買収案件に関して、5月31日付けのPCC判断事例004-2022号において「深刻な競争制限を引き起こすものではないと考えられる。PCCは今後この買収計画に関与することはない」として承認済みである。

 一方、SM財閥の旗艦企業であり、流通・不動産・金融コングロマリットであるSMインベストメンツ(証券コード:SM)も物流事業を強化しつつある。SMは、8月25日、ロジスティクス企業であるAIC グループ オブ カンパニーズ ホールディング(エアスピード、本社:マニラ首都圏パラニャーケ市)の株式約1,000万株の追加取得オプションを行使した。これにより、SMのエアスピード保有比率はこれまでの35%から51%に上昇、エアスピードはSMの子会社となった。

 SMは2017年に、PSE上場の有力ロジスティクス企業である2GOグループ(証券コード:2GO)の株式34.5%を取得した。2021年6月には22.36%の追加取得により、2GO保有比率は約52.85%に達し、マジョリティーを得て、子会社化した。2GOグループは海運、フレイト・フォワーダー、倉庫、宅急便などの幅広い事業を展開している。SMのロジスティクス事業基盤は着実に拡充されているといえよう。