海外フィリピン人からの送金額、7月2.3%増の32億ドル

7カ月ぶりの高水準、7カ月間で2.7%増の203億ドルに

2022/09/16

フィリピン中央銀行(BSP)対外収支データによると、2022年7月の包括的海外在住フィリピン人(OF)の本国送金額(速報値)は前年同月比2.3%増の32億4,000万米ドル。前年同月比は前月の4.4%から鈍化したが、送金額は昨年12月の32億9,800万ドル以来、7カ月ぶりの高水準となった。フィリピンの新学期入り、しかも久々の本格的対面授業開始に備え留守宅の子弟の学費向け送金が増加したと見られる。

 雇用契約1年以上の陸上ベースのOFからの送金額が2.4%増の25億7,000万米ドル、雇用契約1年未満の陸上・海上ベースのOFからの送金が1.4%増の6億米ドルと共に増加したことによる。年初7カ月累計では203億2,600万米ドルと前年同期から2.7%増加した。OF送金は依然としてフィリピンの主要な外貨流入源である。


 包括的OF送金額   (単位:百万米ドル、対前年同期伸び率:%)

項目 年間推移 1-7月
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 21年 22年
送金額 31,288 32,213 33,467 33,194 34,884 19,783 20,326
伸び率 5.3 3.0 3.9 -0.8 5.1 6.0 2.7
(出所:BSP資料より作成、2021-22年は速報値)

 月別包括的OF送金額推移   (単位:百万米ドル、対前年同月伸び率:%)

2021年 2022年
7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
送金額 3,167 2,889 3,026 3,117 2,770 3,298 2,966 2,793 2,888 2,671 2,705 3,064 3,240
伸び率 2.6 4.8 4.8 2.4 4.8 2.9 2.5 1.2 3.1 3.8 2.0 4.4 2.3
(出所:BSP資料より作成、全て速報値)

 包括的OF本国送金額(銀行経由現金送金+帰国時持参分+非現金型資産贈与)のうち、BSPが把握している公式銀行ルートによる7月の現金送金額(速報値)は前年同月比2.3%増の29億1,700万米ドルだった。

 年初7カ月累計では前年同期比2.8%増の182億6,400万米ドル。そのうち陸上ベースのOFからの送金額は3.1%増の145億3,000万米ドル、海上ベースのOFからの送金は1.5%増の37億3,400万米ドル。

 送金元の国別動向については、1位が米国で前年同期比5.2%増の75億5,400万米ドル(シェア41.4%)、2位はシンガポールの3.4%増の12億6,900万米ドル(同6.9%)、3位サウジアラビアの7.5%増の10億8,500万米ドル(同5.9%)、4位日本の2.4%増の9億1,600万米ドル(同5.0%)、5位英国の2.5%増の8億9,300万米ドル(同4.9%)など。

 ただし、情報筋による送金データにはある程度の制約がある。海外の様々な都市の送金センターの一般的なやり方として、コルレス銀行を通じて送金を処理するが、コルレス銀行の大部分が米国にある。また、マネークーリエ(現金宅配)サービスを通じて処理された送金は、実際の送金の出所(国)によって分類できない。


 OFの銀行経由送金額推移  (単位:百万米ドル、対前年同期伸び率:%)

項目 年間推移 1-7月
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 21年 22年
送金額 28,060 28,943 30,133 29.903 31,418 17,771 18,264
伸び率 4.3 3.1 4.1 -0.8 5.1 5.8 2.9
(出所:BSP資料より作成、2021-22年は速報値)


 月別OFの銀行経由送金額推移  (単位:百万米ドル、対前年同月伸び率:%)

2021年 2022年
7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
送金額 2,853 2,609 2,737 2,812 2,502 2,987 2,668 2,509 2,594 2,395 2,425 2,755 2,917
伸び率 2.5 5.1 5.2 2.4 5.1 3.3 2.5 1.3 3.2 3.9 1.8 4.4 2.3
(出所:BSP資料より作成、全て速報値)