ペソ、9月は4.2%下落、最安値連続更新で一時59ペソ台に

9カ月間で13%下落、米引き締めや比の対外収支悪化等で

2022/10/02

    フィリピン銀行協会(BAP)のペソ対米ドル為替データによると、2022年9月30日の終値は1米ドル=58.625ペソで、前月末から2.480ペソ下落、率にして4.23%のペソ安となった。

 9月は、米国の積極的金融引き締め継続の動きに伴うドル高の流れ波及、フィリピンの貿易赤字急増に伴う対外収支急悪化などにより、ペソの下落基調が続いた。9月2日に、終値ベースで2004年10月14日に記録した56.450ペソという過去最安値を約18年ぶりに大幅更新、56.971ペソへと下落した。それ以降、連日の最安値更新が続き、27日には終値ベースでの過去最安値58.990ペソを記録するに至った。加重平均ベースでも28日に58.990ペソという過去最安値を記録した。更に28日には一時59ペソへ下落、瞬間値ベースでの過去最安値を記録するとともに初の59ペソ台への下落となった。

 9月の終値ベースで最もペソ高となったのは1日の1米ドル=56.420ペソ、最もペソ安となったのは上記のように27日の1米ドル=58.990ペソ。月末には、世界的なドル高一服やフィリピン中央銀行(BSP)のペソ急落防止方針表明などを背景にペソが僅かに反発した。

 2022年の月間ベースの動きに関しては、ペソは1月に小幅上昇後、9月まで8カ月連続の下落が続いている。年初9カ月では13.01%のペソ安となっている。次回の米国FOMC(連邦公開市場委員会)は11月1日と2日に予定されている。4回連続での0.75%利上げが決定されるとの見方が多い。このようなドル高ペソ安要因に対して、BSPがどう対応していくか注目される。

 ペソ対米ドルレートの動き(年末値/月末値)
時期 年末・月末値 上昇率
2012年 41.050ペソ 6.80%
2013年 44.395ペソ -7.53%
2014年 44.720ペソ -0.73%
2015年 47.060ペソ -4.97%
2016年 49.720ペソ -5.35%
2017年 49.930ペソ -0.42%
2018年 52.580ペソ -5.04%
2019年 50.635ペソ 3.84%
2020年 48.023ペソ 5.44%
2021年 50.999ペソ -5.84%
2022年 1月末 50.950ペソ 0.10%
2月末 51.270ペソ -0.62%
3月末 51.740ペソ -0.91%
4月末 52.190ペソ -0.86%
5月末 52.370ペソ -0.34%
6月末 54.975ペソ -4.74%
7月末 55.130ペソ -0.28%
8月末 56.145ペソ -1.81%
9月末 58.625ペソ -4.23%
9カ月間 - -13.01%
(出所:フィリピン銀行協会資料より作成)