9月インフレ率6.9%で4年ぶり高水準、コアは4.5%

4カ月連続の6%台、9カ月平均5.1%、コア平均3.0%

2022/10/06

フィリピン統計庁(PSA)は10月5日、2022年9月の消費者物価(インフレ)統計を発表した。それによると、2022年9月の総合インフレ率(消費者物価指数{2018年=100}の前年同月比)は6.9%となり、前月の6.3%から加速し、4カ月連続の6%突破となった。そして、2018年10月の6.9%以来、約4年ぶりの高水準となった。ただ、中央銀行の直前予想(6.6%~7.4%)の範囲内には収まった。特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率は4.5%で前月から0.1%ポイント低下した。

 総合インフレ率が前月から加速したのは、主に、食品・非アルコール飲料価格の上昇や住宅・水道光熱・燃料費の上昇などによる。総合インフレ率6.9%への項目別寄与度は、食品・非アルコール飲料2.8%(うち食品2.7%)、住宅・水道光熱費1.6%、交通・輸送1.3%、外食・宿泊サービス0.4%、酒類・たばこ0.2%、家具・住宅設備管理0.1%、健康・医療0.1%、衣料・履物類0.1%、教育0.1%、パーソナルケア類0.2%だった。

 総合インフレ率を地域別で見ると、マニラ首都圏(NCR)は6.5%で前月の5.7%から0.8%ポイント上昇、、地方は7.0%で前月の6.5%から0.5%ポイント上昇した。最も高かった地域はサンボアンガ半島とダバオ地域の9.6%。一方、最も低かったのは、カガヤン・バレーとカラバルソン地域の5.9%だった。

 
 <2022年年初9カ月>
 年初9カ月間の平均総合インフレ率は5.1%で、政府の2022年のインフレ目標(2.0%~4.0%)の上限をかなり超えている。9カ月間でマニラ首都圏は4.3%上昇、地方は5.3%上昇した。コアインフレ率は9カ月間で3.0%であった。

 項目別寄与度は、食品・非アルコール飲料1.7%(うち食品1.6%)、住宅・水道光熱費1.3%、交通・輸送1.2%、外食・宿泊サービス0.3%、酒類・たばこ0.2%、家具・住宅設備管理0.1%、健康・医療0.1%、衣料・履物類0.1%、パーソナルケア類0.1%だった。

 総合消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率:2018年基準、前年同月比%)
項目 2021年9月 2022年8月 2022年9月 2022年1-9月
全国   総合インフレ率 4.2 6.3 6.9 5.1
     コアインフレ率 2.6 4.6 4.5 3.0
首都圏 総合インフレ率 3.0 5.7 6.5 4.3
地方   総合インフレ率 4.5 6.5 7.0 5.3
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)

 総合CPI上昇率  (2018年基準、前年同月比%)
項目 2021年 2022年
9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
総合 4.2 4.0 3.7 3.1 3.0 3.0 4.0 4.9 5.4 6.1 6.4 6.3 6.9
食品・非酒類 5.0 3.7 2.2 1.6 1.7 1.2 2.6 3.8 4.9 6.0 6.9 6.3 7.4
酒類・タバコ 9.5 8.7 6.9 6.2 5.6 4.7 4.8 5.9 6.8 7.8 8.5 9.3 9.8
衣料・履物類 1.9 1.9 2.0 1.9 2.0 1.9 1.9 2.0 2.1 2.2 2.5 2.8 2.9
住宅・水道光熱費 3.8 4.3 4.8 5.1 4.5 4.8 6.2 6.9 6.5 6.6 5.7 6.8 7.3
家具・住宅管理 2.2 2.1 2.1 2.1 2.4 2.3 2.6 2.6 2.5 2.9 3.1 3.4 3.5
健康・医療 3.8 3.7 3.6 3.2 3.1 2.7 2.5 2.4 2.4 2.6 2.4 2.5 2.4
交通・輸送 5.6 7.6 9.8 6.6 7.0 8.8 10.3 13.0 14.6 17.1 18.1 14.6 14.5
情報・通信 0.7 0.6 0.6 0.6 0.7 0.6 0.7 0.7 0.7 0.5 0.5 0.4 0.5
娯楽・文化 1.6 1.6 1.6 1.6 1.5 1.6 1.5 1.6 1.7 1.9 2.2 2.4 2.7
教育 0.7 0.7 0.7 0.7 0.6 0.6 0.6 0.6 0.6 0.6 0.6 3.8 3.5
外食・宿泊サービス 4.0 3.8 3.7 3.2 3.0 2.9 3.0 2.8 2.8 2.8 3.4 4.2 4.6
金融サービス 43.3 43.3 43.3 43.3 43.3 43.3 43.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
パーソナルケア類 2.2 2.1 2.2 2.1 2.2 2.2 2.2 2.3 2.5 2.6 2.8 3.3 3.4
首都圏 3.0 2.5 2.2 2.1 1.3 1.9 3.4 4.4 4.7 5.6 5.1 5.7 6.5
地方 4.5 4.4 4.0 3.4 3.5 3.4 4.1 5.1 5.5 6.3 6.8 6.5 7.0
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)

 食料物価上昇率 (2018年基準、前年同月比%)
項目 食品 コーン 果実 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 砂糖・菓子類 その他食品
22/1月 1.6 1.0 27.7 -5.7 -10.8 4.3 6.2 0.9 8.5 2.8 1.9
 2月 1.1 1.6 31.3 -4.9 -8.4 1.4 2.9 0.7 8.9 4.9 2.0
3月 2.8 1.6 31.3 -4.0 -0.1 2.9 4.3 0.8 9.1 6.2 2.3
4月 4.0 1.6 27.1 -4.6 9.2 4.2 5.0 1.1 11.7 7.3 2.9
5月 5.2 1.5 24.4 -2.4 15.2 5.4 6.2 1.5 13.6 8.7 3.5
6月 6.4 2.0 24.7 1.1 14.4 8.1 6.7 2.7 15.5 10.9 4.3
7月 7.1 2.1 27.6 3.6 5.6 9.9 9.2 4.5 18.4 17.6 5.2
8月 6.5 2.2 26.1 3.9 -2.7 9.6 7.2 6.5 19.6 26.0 5.8
9月 7.7 2.4 26.2 3.8 3.5 9.0 9.1 7.6 20.1 30.2 6.7
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)

 2022年9月のインフレ率(2018年=100)と寄与度 (単位:%)
項目 物価指数
構成比
9月 1-9月
インフレ率 寄与度 インフレ率 寄与度
総合 100.00 6.9 6.9 5.1 5.1
食品・非酒類 37.75 7.4 2.8 4.5 1.7
   うち食品のみ 34.78 7.7 2.7 4.7 1.6
酒類・煙草 2.16 9.8 0.2 7.0 0.2
衣料・履物類 3.14 2.9 0.1 2.2 0.1
住宅・水道光熱費 21.38 7.3 1.6 6.2 1.3
家具類・住宅管理 3.22 3.5 0.1 2.8 0.1
健康・医療 2.89 2.4 0.1 2.6 0.1
交通・輸送 9.03 14.5 1.3 13.2 1.2
情報・通信 3.41 0.5 0.0 0.6 0.0
娯楽・文化 0.96 2.7 0.0 1.9 0.0
教育 1.96 3.5 0.1 1.2 0.0
外食・宿泊サービス 9.62 4.6 0.4 3.3 0.3
金融サービス 0.03 0.0 0.0 11.2 0.0
パーソナルケア類 4.46 3.4 0.2 2.6 0.1
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)

フィリピンのインフレ率推移(2012年基準と2018年基準との比較)
15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年  22年予  23年予  24年予
2018年基準 N.A.    N.A.   N.A.  N.A.   2.4%  2.4%  3.9%  5.6%  4.1%  3.0% 
2012年基準 0.7% 1.3% 2.9% 5.2% 2.5% 2.6% 4.5% N.A.    N.A.     N.A.   
インフレ目標 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4%  2~4%  2~4%  2~4%
 (出所:PSA資料などより作成、2022年以降の予想はBSPの9月22日時点の予想)