中央銀行、0.75%の大幅追加利上げの可能性

ペソ急落やインフレ高進防止へ苦渋の選択へ

2022/11/04

 11月2日までの米連邦公開市場委員会(FOMC)において4会合連続の0.75%利上げが決定されたことを受けて、フィリピン中央銀行(BSP)も11月17日開催予定の今年7回目の金融委員会(MB)政策定例会合において、0.75%の追加利上げを実施する意向のようだ。0.75%の利上げは景気への大きな影響が懸念されるが、BSPはインフレ抑制やペソ急落防止のために、当面は米国と同じ幅の利上げを行う意向を表明しており、0.75%の追加利上げの可能性が高まった。

 BSPは、9月22日開催の今年6回目のMB政策定例会合において政策金利体系の0.50%追加引き上げを決定した。すなわち、9月23日から主要政策金利である翌日物借入金利(RRP)4.25%を中心とする3.75%~4.75%という金利コリドーに移行されることになった。RRPは2019年9月26日までの4.25%以来、約3年ぶりの高水準となる。また、2022年の累計利上げ幅は2.25%に達し、アセアン諸国で最大級の利上げ幅となっている。

 この中央銀行の利上げにもかかわらず、米国がそれ以上のピッチの利上げを行っていることもあって、ペソ対ドルレート下落に拍車がかからず、10月には一時過去最安値となる59ペソまで下落、11月3日の終値は、1米ドル=58.800ペソで年初からの下落率は約12%に達している。一方、11月4日に発表される10月のインフレ率は、現行基準(2018年基準)採用後の最高を更新するとともに、2009年2月の7.2%(2006年基準)以来、13年8カ月ぶりに7%突破、高インフレとなった可能性がある。このような状況下で、BSPのフェリーペ・メダーリャ総裁はインフレ抑制とペソ急落防止のため、更なる大幅追加利上げを行わざるを得ないと判断している。

 なお、BSPは現在、年8回の金融委員会(MB)政策定例会合を開催している。2022年のMB定期政策会合は、2月17日、3月24日、5月19日、6月23日、8月18日、9月22日、11月17日、12月15日に開催、もしくは開催予定されている。1月、4月、7月、10月は定例会合は開催されないが、今年7月には臨時会合で0.75%の緊急利上げが実施された。