9月の失業率5.0%(前月5.3%)、3年ぶりの低水準

不完全就業率は15.4%へ悪化、パートが大幅増加

2022/11/09

  フィリピン統計庁(PSA)は11月8日、2022年9月の労働力調査(LFS)速報を発表した。それによると、2022年9月の15歳以上の失業率は5.0%で前月から0.3%ポイント、前年同月から3.9%ポイント改善した。

 9月の失業率は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック発生前の2019年10月の4.5%(当時は毎月発表ではなく、1月、4月、7月、10月という年4回発表)以来、3年ぶりの低水準となった。また、パンデミック直前である2020年1月の5.3%よりも低くなった。経済再開本格化や対面授業再開などが寄与した。

 フィリピンの労働力調査結果の比較
2021 2022
9月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
労働参加率(%) 63.3 60.5 63.8 65.4 63.4 64.0 64.8 65.2 66.1 65.2
就業率(%) 91.1 93.6 93.6 94.2 94.3 94.0 94.0 94.8 94.7 95.0
不完全就業率(%) 14.2 14.9 14.0 15.8 14.0 14.5 12.6 13.8 14.7 15.4
失業率(%) 8.9 6.4 6.4 5.8 5.7 6.0 6.0 5.2 5.3 5.0
平均週労働時間 40.2 41.8 40.8 40.6 40.1 39.8 40.3 40.5 40.5 39.6
(出所:PSA資料より作成、2022年は速報値)

 2022年9月の15歳以上の人口7,683万人のうち、労働力人口は前年同月比(以下同様)4.6%増の推定5,008万人で、労働参加率は65.2%となり、前年同月から1.9%ポイント上昇した。

 就業者数は9.2%増の推定4,758万人、就業率(雇用率)は95.0%と前年同月を3.9%ポイント上回った。規制緩和が寄与した。就業者を業種別に分類すると、農業部門が22.5%(前年同月23.5%)、鉱工業部門が18.6%(同18.7%)、サービス部門が58.9%(同57.8%)であった。就業形態は、賃金労働者が全体の62.2%を占め、その48.0%が民間企業労働者、9.6%が政府系企業社員・公務員だった。自営・事業主は全体の29.6%、無給家内労働者は8.2%。また、週平均労働時間は39.6時間で、前年同月の40.2時間を約0.6時間下回った。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の64.7%(前年同月63.6%)。

 不完全就業者(就業者であっても十分な労働時間に満たず追加の仕事を求めているパートタイム労働者)数は18.5%増の推定733万人で、不完全就業率は15.4%(前年同月14.2%)。不完全就労者全体の62.2%が労働時間週40時間以下だった。
 
 失業者数は41.6%減の推定250万人。年齢層でみると、15歳-24歳が全体の34.0%、25歳-34歳が34.9%と合計で全体の64.9%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は29.0%(卒業者は21.6%)、大学進学・卒業者では45.4%(卒業者は34.3%)だった。性別では、男性53.0%、女性47.0%と男性が上回っている。