比トヨタ自動車、9カ月間の売上41%増の1,334億ペソに

コスト増で帰属純利益5%減の42億ペソ、市場シェア50.8%

2022/11/15

   大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、証券コード:MBT)グループの持株会社GTキャピタル ホールディングス(証券コード:GTCAP)はトヨタ車事業に注力してきている。GTCAPは、トヨタ自動車の製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP、比トヨタ自動車)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ マニラベイ(TMBC)の58.05%を保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ ファイナンシャルサービス フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。

 これらのトヨタ関連各社は各々存在感を強めている。その中でも、TMPの強さが際立っている。新車販売シェアは断トツであり、2021年まで20年連続でフィリピン自動車市場の三冠王(総販売台数、商用車販売台数、乗用車販売台数いずれもトップ)となっている。個別モデル販売ランキングにおいても、常に上位を独占している。

 11月14日発表のGTCAPの2022年の事業報告書によると、TMPの当9カ月間の卸売ベースの販売台数は前年同期比(以下同様)36.6%増の12万6,661台、小売ベースの販売台数も35.3%増の12万4,884台と好調、業界全体の増加率を大幅に上回った。業界全体の小売販売台数は21.9%増の24万5,656台、TMPの市場シェアは50.8%に達し前年同期の45.8%から更に上昇、首位の座をさらに強固なものとした。

 これらの結果、TMPの売上高は41.4%増の1,334億ペソに達した。新型コロナ対策のための外出・移動制限の緩和、積極的な新型モデル投入、市場シェア拡大などで大幅増収となった。ただし、ペソ安デメリットや各種コスト・輸入コスト上昇等で粗利益率が9.3%へ低下(前年同期11.8%)したことなどで、営業利益は5.1%増の58億ペソと一桁増、帰属純利益は5.0%減の42億ペソにとどまった。しかし、利益額は依然高水準であり、売上高は新型コロナウイルスパンデミック直前の2019年9カ月間を約10%上回っている。

 TMPは73の販売店網を有している。そのうち、直営店は6店である。これらは、トヨタ・マカティ+1支店(トヨタ・ビクータン)、トヨタ・サンフェルナンド(パンパンガ州)+2支店(トヨタ・プエリデル・ブラカン、トヨタ・タルラック)、レクサス・マニラ(ボニファシオ・グローバルシティ)である。

 TMPは1988年8月にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。現在の出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTCAP51%となっている。また、販社「レクサス マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業した「レクサス マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPの出資比率は75%、三井物産が25%である。
 

 TMPの年初9カ月の業績比較 (単位:百万ペソ、22年は速報値)
2021年 2022年 伸び率
売上高 94,346.2 133,414.2 41.4%
粗利益 11,097.8 12,403.8 11.8%
営業利益 5,478.5 5,758.6 5.1%
帰属純利益 4,432.3 4,210.0 -5.0%
(出所:GTキャピタル事業報告書などより作成)

 TMPの年間業績の推移(単位:百万ペソ)
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年  2020年 2021年  伸び率
売上高 114,289 155,833 185,337 158,941 168,616 99,847 131,275  31.5%
粗利益 18,299 21,072 23,059 16,620 21,143 13,022 14,545  11.7%
営業利益 13,910 15,669 16,798 10,255 12,786 4,546 6,641  46.1%
帰属純利益 10,195 11,929 13,186 7,882 9,082  3,306 6,024  82.2%
総資産 32,278 36,003 42,158 36,428 38,751 45,059 44,937  -0.3%
株主資本 15,228 17,492 19,148 15,238 15,608  9,500 12,853  35.3%
(出所:GTキャピタル資料より作成)