三菱UFJ、フィリピンの有力ノンバンク買収へ

インドネシアでも、合計取得額870億円見込み

2022/11/24

   三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)及び三菱UFJ銀行は、11月24日、「三菱UFJ銀行傘下のタイ大手商業銀行であるアユタヤ銀行、インドネシアのPT.Adira Dinamika Multi Finance(ADMF)及び三菱UFJ銀行を通じ、オランダのHome Credit社(HC)の子会社であるHC Consumer Finance Philippines, Inc.(HCフィリピン)の全株式とPT Home Credit Indonesia(HCインドネシア)の株式85.0%を取得することを決定した」と発表した。関係当局の承認などを前提に、2023年中を目途に株式を取得する予定である。取得にかかる金額は総額5億9,600万ユーロ(約870億円)を見込んでいる。

 MUFG発表によると、HCは、POSローン(耐久財の販売店などでの商品購入時に提供する割賦ローン)を中心に個人ローン事業を展開するコンシューマーファイナンスカンパニーである。顧客はローンの申請から実行、返済までの 全プロセスを、ユーザーインターフェース(操作性)/ユーザーエクスペリエンス(顧客体験)に優れたアプリ上でシームレスに完結することが可能である。また、社内外の多様なデータの活用と独自の審査モデルにより、精度高くスピーディな審査が出来る点にも強みを有している。 中でもHCフィリピン、HCインドネシアは、高いブランド認知度と顧客満足度を有しており、アプリダウンロード数はフィリピンとインドネシアで計2,000万件、累計貸出顧客数は1,300万人に達し、それぞれ各国のPOSローン市場シェアでは首位に位置している。

 MUFGは、フィリピンやインドネシアで、持分法適用会社のセキュリティバンク(証券コード:SECB)および連結子会社のダナモン銀行への出資を通じ、現地コンシューマーファイナンス市場に一定のプレゼンスを既に有しているが、各パートナーバンクと一体で、東南アジアのビジネスプラットフォームを構築し、リテール事業を強化していく。

《アユタヤ銀行の概要》
 アユタヤ銀行は、タイにおいて77年の歴史を有し、同国第5位の資産規模を誇る大手商業銀行。タイに634拠点を有し、個人から中小・大企業の顧客に対して法人業務、消費者金融を含むリテール業務、投資、資産運用などの包括的な総合金融サービスを展開している。また、アユタヤ銀行およびその子会社は、タイ国内最大のクレジットカード発行体でもある。MUFG 及び三菱UFJ銀行は、アユタヤ銀行を2013年12月に連結子会社化した。

《ADMFの概要》
ADMFは、三菱UFJ銀行の連結子会社であるインドネシアの大手商業銀行ダナモン銀行の子会社で、オー トローン事業を中心に展開している。ダナモン銀行とADMFを2019年4に連結子会社化した。

《HCフィリピン・HCインドネシアの概要》
 POS ローンやキャッシュローンなどの金融サービスを提供するコンシューマーファイナンスカンパニー。 上記出資完了後の議決権所有割合は、HCフィリピンがアユタヤ銀行75%・三菱UFJ銀行25%、HCインドネシアがアユタヤ銀行75%・ADMF10%となる。