電動車(EV)関税免除へ、ハイブリッド車は免税非適用

5年間の暫定措置、完全EVの輸入関税が30%からゼロに

2022/11/25

     電気自動車(EV)普及の決め手と期待されていたEV輸入関税(30%)免除が実現する。ただし、完全EV車が対象であり、ハイブリッド車の輸入関税は免除されないとのことである。

 国家経済開発庁(NEDA)は、11月24日開催の理事会において、特定の電気自動車(EV)とその部品およびコンポーネントの関税の変更を実施する大統領令(EO)を承認した。このEOは、完全EV の完成車(CBU)輸入に関して、最恵国待遇(MFN)の関税率を5年間一時的にゼロ パーセントに引き下げ(ハイブリッド型のEVには非適用)、EVの一部の部品やコンポーネントの輸入関税率を5年間一時的に5%から1%に引き下げると規定されている。なお、NEDA 理事会は、関税引き上げのEV産業へのの影響を評価する目的で、関税の変更実施の1年後に見直しを行うと表明した。

 フィリピンでは、今年5月にEV産業の振興を目的とする「電気自動車産業振興法」(EVIDA)が成立した。EVIDAでは、政府機関、貨物ロジスティクス企業、食品配送企業、ツアー代理店、ホテル、電力や水道企業、公共交通機関(ミニバス、バス、ジープニー、バン、三輪車、タクシー)、配車企業などに対して、保有車両のEV比率を5%以上とすることを義務付けている。また、20台以上の駐車場においては5%以上をEV用の駐車スペースとすることも義務付けられている。

 しかし、EV普及の決め手となる関税免除などは具現化されていなかった。したがって、EVは普通車に比べかなりの割高感を感じさせる販売価格の設定を余儀なくされてきている。先頃発表された日産自動車の完全EV「日産リーフ」の改良モデル(2023年モデル)の販売価格は前モデルと同じ279万8,000ペソ(約700万円)、急激な円安もあって、円換算額はかなりの割高感を感じさせる。今回の関税免除措置はEVにとって朗報ではあるが、エコカーの中心的存在となってきたハイブリッドカーには適用されないことを疑問視する向きもある。