ペソ、11月は2.5%上昇、米利上げ減速観測拡がる

介入やOF送金拡大も寄与、11カ月間では9.8%下落

2022/12/01

   フィリピン銀行協会(BAP)のペソ対米ドル為替データによると、2022年11月29日の終値は1米ドル=56.560ペソで、前月末から1.410ペソ上昇、率にして2.49%のペソ高となった。11月の終値ベースで最もペソ高となったのは29日の1米ドル=56.560ペソ、最もペソ安となったのは3日の1米ドル=58.800ペソ。

 10月に終値ベースでの過去最安値59.000ペソを記録した後、小幅ながらペソが反発基調となっている。米国の利上げ減速観測の拡がり、中央銀行(BSP)のペソ急落防止方針表明や市場介入効果顕在化、クリスマス休暇シーズンに向けての在外フィリピン人(OF)からの本国送金拡大の動き、株式市場における外国人投資家の買い越し基調などにより、月間ベースで、1月と10月に続く今年3回目のペソ上昇となった。

 2022年11カ月間では、ペソ対米ドルレートは5.651ペソ、率にして9.83%下落した。1月に0.1%と僅かに上昇したあと、米国の積極的金融引き締めの動きなどを背景に8カ月間連続でペソが下落、9月2日には終値ベースでの当時の過去最安値56.450ペソを約18年ぶりに更新する56.770ペソまで下落、その後も過去最安値更新を続け、上記のように10月には一時59ペソを記録するに至った。10月後半から11月にかけて小幅反発したものの、依然歴史的なペソ安水準にあるといえる。

 12月は、まずは13日と14日に開催される米国FOMC(連邦公開市場委員会)、そして12月15日開催ののフィリピン中央銀行(BSP)金融委員会(MB)定例政策会合等が注目される。双方ともに今年8回目かつ最後の会合である。

 ペソ対米ドルレートの動き(年末値/月末値)
時期 年末・月末値 上昇率
2012年 41.050ペソ 6.80%
2013年 44.395ペソ -7.53%
2014年 44.720ペソ -0.73%
2015年 47.060ペソ -4.97%
2016年 49.720ペソ -5.35%
2017年 49.930ペソ -0.42%
2018年 52.580ペソ -5.04%
2019年 50.635ペソ 3.84%
2020年 48.023ペソ 5.44%
2021年 50.999ペソ -5.84%
2022年 1月末 50.950ペソ 0.10%
2月末 51.270ペソ -0.62%
3月末 51.740ペソ -0.91%
4月末 52.190ペソ -0.86%
5月末 52.370ペソ -0.34%
6月末 54.975ペソ -4.74%
7月末 55.130ペソ -0.28%
8月末 56.145ペソ -1.81%
9月末 58.625ペソ -4.23%
10月末 57.970ペソ 1.13%
11月末 56.560ペソ 2.49%
11カ月間 - -9.83%
(出所:フィリピン銀行協会資料より作成)