11月の株価10.2%上昇、米国利上げ減速期待等で続伸

11カ月間では4.8%下落、金融株5.8%高、サービス業11%安

2022/12/02

 フィリピンの代表的株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)の2022年11月最終商い日である29日の終値は6,780.78ポイントとなり、前月末と比べて10.20%上昇した。10月の終値ベースでの最高値は29日の6,780.78ポイント、最安値は3日の6,156.11ポイントであった。

 11月は、米国の利上げピッチ減速観測、発表された9カ月間決算が総じて堅調であったこと、新型コロナウイルス感染が低水準で推移していること、外国人投資家の買い越し継続(売り越しは4営業日のみ)、他市場に比べての出遅れ感などを背景に、月間ベースでは10月の7.81%上昇に続く連続上昇となり、9月までの累計下落率19.40%を大幅に縮小させた。もっとも、新型コロナウイルスパンデミック前の水準に戻りきらない状況が続いている。
 
 これらの結果、PSEiは年初11カ月間では4.80%の下落となっている。11カ月間の大分類セクター別指数は、鉱業・石油株(資源株、+6.47%)と金融株(+5.76%)が上昇した。一方、サービス業株(-11.05%)、工業株(-8.81%)、不動産株(-6.58%)、持株会社株(-4.55%)は下落した。資源株は市況上昇、金融株は不良債権減少・業績回復で堅調な動きとなっている。サービス業株は、主力の通信株が前年急騰の反動や新規企業参入による競争激化懸念などで低調に推移していることが響いている。

 11カ月間の外国人投資家の売買額シェアは44%で、前年同期の35%から拡大した。外国人投資家は約628億ペソを売り越したが前年同期の約873億ペソの売り越しからは約28%縮小した。PSE算出のPSE取引所指数ベースの株価収益率(PER)は15.85倍で、前年同月末の23.40倍から低下した。

 PSE指数(PSEi)の推移(年末値/月末価)
時期 年末・月末値 上昇率
2012年 5,812.73ポイント 32.95%
2013年 5,889.83ポイント 1.33%
2014年 7,230.57ポイント 22.76%
2015年 6,952.08ポイント -3.85%
2016年 6,840.64ポイント -1.60%
2017年 8,558.42ポイント 25.11%
2018年 7,466.02ポイント -12.76%
2019年 7,815.26ポイント 4.68%
2020年 7,139.71ポイント -8.64%
2021年 7,122.63ポイント -0.24%
2022年 1月末 7,361.65ポイント 3.36%
2月末 7,311.01ポイント -0.69%
3月末 7,203.47ポイント -1.47%
4月末 6,731.25ポイント -6.56%
5月末 6,774.68ポイント 0.65%
6月末 6,155.43ポイント -9.14%
7月末 6,315.93ポイント 2.61%
8月末 6,583.65ポイント 4.24%
9月末 5,741.07ポイント -12.80%
10月末 6,153.43ポイント 7.18%
11月末 6,780.78ポイント 10.20%
11カ月間 - -4.80%
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)

 フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率
項目 19年 20年 21年 22年11カ月間 22年11月末指数
フィリピン証券取引所指数 4.68% -8.64% -0.24% -4.80% 6,780.78
全株指数 2.92% -8.11% -10.64% -7.97% 3,513.98
  金融株指数 4.71% -22.32% 10.95% 5.76% 1,698.66
  工業株指数 -12.02% -2.51% 10.76% -8.81% 9,487.17
  持株会社株指数 3.41% -3.13% -7.44% -4.55% 6,497.40
  不動産株指数 14.51% -11.80% -12.14% -6.58% 3,007.70
  サービス業株指数 6.13% -1.11% 31.19% -11.05% 1,766.97
  鉱業・石油株指数 -1.32% 17.75% 0.77% 6.47% 10,223.02
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)