6日に11月のインフレ率発表、直前予想中間値は7.8%

中央銀行7.4~8.2%と推定、14年ぶりの8%台の可能性も

2022/12/05

  フィリピン統計庁(PSA)が、12月6日午前9時、2022年11月の消費者物価(インフレ)統計を発表する。デニス・マパ国家統計官・市民登録局長が解説する。

 現地有力経済紙であるビジネスワールド紙(BW紙)が先週実施したエコノミスト15名による2022年11月の消費者物価上昇率(インフレ率、前年同月比、2018年基準)に関する直前予想のコンセンサス(中間値)は7.8%。前月(10月)の7.7%から更に加速、2カ月連続の7%台後半となったたとの見方が多い。最高予想値は8.4%、2番目は8.2%、最低予想値は7.1%であった。そして、7名が7.8%と予想した。

 これに先立ち、フィリピン中央銀行(BSP)は、11月29日、「2022年11月の消費者物価上昇率(インフレ率、前年同月比、2018年基準)は7.4%~8.2%の範囲内と推定している」と発表した。すなわち、約14年ぶりの8%台突破の可能性もあると見ている。

 BSPは、11月は電力料金やLPG価格の上昇、悪天候による農産物価格の値上がりなどがインフレ圧力となったと見ている。石油や豚肉の値下がりというインフレ緩和要因もあったが、それらではインフレ圧力を相殺するには遠く及ばず、インフレが加速、前月に続く2カ月連続での7%突破のみならず、約14年ぶりに8%台へ上昇した可能性があると見ている。

 ちなみに、10月のインフレ率は7.7%となり、9月の6.9%から一段と加速、現行基準(2018年基準)採用後の最高を更新するとともに、2009年2月の7.2%(2006年基準)以来、13年8カ月ぶりの7%突破となった。そして、2008年12月以来、約14年ぶりの高インフレとなった。

 このようなインフレ高進のもとで、BSPは、11月17日、2022年の年間インフレ率予想をそれまでの5.4%から5.8%へと更に上方修正した。2023年予想についてもそれまでの4.0%から4.3%へと上方修正された。2024年については3.1%と予想されている。


 フィリピンのインフレ率推移(2012年基準と2018年基準との比較)
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年  2022年予  2023年予  2024年予
2018年基準 N.A.    N.A.   N.A.  N.A.   2.4%  2.4%  3.9%  5.8%  4.3%  3.1% 
2012年基準 0.7% 1.3% 2.9% 5.2% 2.5% 2.6% 4.5% N.A.    N.A.     N.A.   
インフレ目標 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4%  2~4%  2~4%  2~4%
 (出所:PSA資料などより作成、2022年以降の予想はBSPの2022年11月17日時点の予想)