電源開発(Jパワー)、ミンダナオ島水力発電事業に参画

北アグサン州のレイクマイニットとブキドノン州のブラノグバタン

2022/12/20

 電源開発(Jパワー、本社:東京都中央区)は、12月19日、「フィリピンの発電事業会社であるMarkham Resources Corporation(MRC社)から、MRC社の子会社株式の一部を取得することで、ミンダナオ島における水力発電事業に参画する」と発表した。

 Jパワーは、MRC社が全株式を保有するレイクマイニット水力発電ホールディングス社(LMHHC社)およびMRC社が株式の95%を保有するブギドノン エナジー社(BHEC社)の株式をそれぞれ40%取得する予定である。

 LMHHC社は、MRC社が全株式を保有するアグサン パワー社(APC社)を通じて、ミンダナオ島北部北アグサン州でレイクマイニット水力発電所(2万5,000kW)の建設を行っている。営業運転開始は2023年1月を予定している。その発電電力は北アグサン州電化協同組合(ANECO社)への販売が決定している。また、BHEC社は、ミンダナオ島中部ブキドノン州でブラノグバタン水力発電所(3万3,500kW)の開発を進めている。

 ミンダナオ島には未開発の水力地点が多く残されている。これらの開発を通じて、ミンダナオ島の電力供給を、その過半を占める化石燃料由来の電源からカーボンフリー電源へシフトすることに貢献することが期待されており、両プロジェクトはその一翼を担う。

 MRC社は、フィリピンで2014年に設立された、水力発電を中心とした再生可能エネルギー(再エネ)の開発・運営を行っている発電事業会社である。MRC社は、事業の更なる拡大のため、再エネ電源等の開発・運営経験を有するJパワーによる株式取得に合意し、Jパワーと共同で両プロジェクトを含む再エネプロジェクトの開発・運営を行うことになった。なお、MRC社が進める再エネプロジェクトについて、Jパワーと優先的に開発を進めることで合意している。

 なおJパワーは、J1970年代から国際協力機構(JICA)などの委託を受けて、ルソン島のカガヤン・バレー地域の地方電化計画を皮切りに、数々のコンサルティング事業を通じ、フィリピン国営電力公社(NPC)の電力設備の増強に貢献してきた。一方、フィリピンは1980年代後半からの急速な電力需要の伸びに対応するため、電力セクターへの民間投資を促進、1998年にインプサ社(アルゼンチン)&EME社(米国)はNPCと2001年から25年間のBROT契約を締結し、CBKパワー社を設立して、カリラヤ水力発電所、ボトカン水力発電所、カラヤン揚水発電所のリハビリと増設工事を行い、2004年に運転を開始した。

 その後、インプサ社が売却の意向を表明したため、EME社持ち分を含めJ-POWERと住友商事が共同でCBKパワー社を2005年に買収した。現地の運転保守管理について、買収から数年間はJパワーから運転保守部門に2名のエンジニアを派遣して管理業務を行ったが、フィリピン人幹部社員の育成に力を注ぎ、2012年6月からは、フィリピン人のみで3つの水力発電所の運転保守業務を行っている。

 2026年には25年間の事業契約を終了し、CBKパワー社の3つの発電所を、国営電力公社/電力部門資産・負債管理公社に引き渡すことになるが、それ以降もフィリピンの電力需要に大きく貢献することを期待している。