マルコペイがJALと提携、船員福祉充実や訪日観光推進へ

日本郵船、丸紅、三菱UFJ等参画の電子通貨サービス企業

2022/12/23

 日本航空(JAL)や日本郵船の12月22日付け発表によると、JALと日本郵船のグループ会社で船員向け電子通貨プラットフォーム事業「MarCoPay(マルコペイ)」を運営するマルコペイ社(本社:フィリピン・マニラ)は業務提携契約を締結、「MarCoPay」のモバイルアプリ上で、フィリピン人船員とその家族の福利厚生の充実と、新たな訪日需要の創出による地域活性化への貢献を目的としたサービスを12月23日より開始する。

 フィリピンは世界有数の船員供給国で、全世界では約20万人、また日本商船隊では乗船する船員の7割にあたる約4万人がフィリピン人船員である。日本と世界の海運業はフィリピン人船員によって支えられていると言っても過言ではない。

 日本郵船とマルコペイ社は、船員やその家族、関係者が抱える課題を解決し、自国の平均を上回る給与水準を活かして彼らの生活を支えて豊かにすることを目指し、電子通貨による給与支給や送金・為替機能、さらに優遇条件での各種融資や保険を紹介する金融プラットフォーム「MarCoPay」を展開している。JALは「JALふるさとプロジェクト」として、日本各地の食材や産品販売、地域の観光情報の発信、関係人口拡大・インバウンドの誘致を促進し、人流・商流・物流の促進による地域活性化への貢献を目指している。

 3社はこのほど、「MarCoPay」からアクセスでき航空券の購入・予約に便利な専用Webサイトや無料手荷物許容量の拡大など、JALが持つ国内外に広がるネットワークを手軽に利用できる「旅行商品」カテゴリーのサービスを展開する。この取り組みを通して、フィリピン人船員とその家族への福利厚生の向上と、日本各地への観光誘客を推進し地域の活性化の両立を図っていく。

 また、フィリピン人船員とその家族との個別インタビューやセミナーなどを行なうことで訪日観光に関するニーズの把握や、自治体や企業との連携を通して、さらなる付帯サービスの充実やダイナミックパッケージ商品への展開を検討し、今後も船員の福利厚生の充実と日本の各地域への誘客促進に向け、取り組んでいく。JALと日本郵船、マルコペイ社の3社は「海」と「空」で培ったノウハウを活かし、本取り組みを通じて日本の地域課題の解決や新たな価値創造に努め、フィリピン・日本両国のさらなる人流・商流・物流の活性化に貢献して行く方針である。

 なお日本郵船とフィリピンのトランスナショナル・ダイバーシファイド・グループ(TDG)は、2019年7月、マルコペイ社を共同設立した。上記のように、「MarCoPay」は主に外国人船員を対象とした、スマートフォンのアプリでQRコードを使って電子決済、国際送金、再現金化ができる電子通貨プラットフォームである。船上での給与支給や生活用品の購入をキャッシュレス化し、航海中であっても自国への送金が可能となり、アプリ使用者が世界中のATMで現金として引き出すことができるようになる。「MarCoPay」の名称は“Maritime Community”に由来する。

 マルコペイ社は2019年12月、フィリピン中央銀行(BSP)から電子通貨発行業のライセンスを取得、2020年1月から「MarCoPay」サービスを開始した。その後、2021年6月に丸紅が、2022年3月には三菱UFJ銀行がマルコペイ社に出資・参画することで合意、有力4社がマルコペイ社をサポートしている。現地企業のTDGは、主に物流事業、船舶の代理店業と船員供給事業、旅行業、情報通信技術などを手がける40以上の事業会社で構成されるフィリピンの複合企業グループで、再生可能エネルギーや農業、不動産などへの投資も行っている。日本郵船とは設立時の1976年から協力関係にあり、現在はフィリピンにおける戦略的パートナーとして連携を強化している。