2022年のGDP統計、1月26日に発表へ

世界銀行7.2%と推定、政府目標は6.5~7.5%

2023/01/12

 フィリピン統計庁(PSA)によると、1月26日(木)、2022年第4四半期(10月~12月)および2022年年間の国内総生産(GDP)など国民勘定統計が発表される予定である。
 
 PSAは2020年、国内総生産(GDP)など国民勘定統計の基準年度を現行の2000年から2018年へと変更した。フィリピンの2000年基準(旧基準)は長らく変更されておらず、インドネシア、ベトナム、マレーシアの2010年基準、ラオスの2012年基準などと比べ古さが目立つことから、変更されることになった。2020年以降のGDP統計などは、2018年基準(新基準)によるものが発表されている

 なお、フィリピン政府開発予算調整委員会(DBCC)は、2022年12月6日、最近の内外情勢を分析するとともに、2022年~2028年の政府の中期マクロ経済に関する前提や財政計画、成長目標の見直しを行った。DBCCは政府の経済関係部署の横断機関であり、マクロ経済目標決定などの役割を担っている。

 12月6日のDBCC会議において、2022年のGDP実質成長率予想(目標)に関しては、9カ月間(1月~9月)実績が7.7%に達していることから、それまでの6.5%~7.5%が継続された。国家経済開発庁(NEDA)のアルセニオ・バリサカン長官は、「2022年第4四半期の景気も堅調に推移しており、2022年の年間成長率目標6.5%~7.5%の達成は確実である。目標の上限を越える可能性もある」とコメントした。

 一方、世界銀行は1月10日に発表した「世界経済見通し(GEP)」2023年1月版において、フィリピンのGDP成長率に関しては、2021年実績5.7%に対し、2022年は7.2%へ加速したと推定している。これは、マレーシアの7.8%に次ぐASEAN第2位の成長率(ベトナムと同率)である。2023年予想は5.4%で、ASEANではベトナムの6.3%に次ぐ第2位、2024年予想は5.9%でベトナムの6.5%、カンボジアの6.3%に次ぐ第3位となっている。

比GDP実質成長率の推移と政府目標(2018年基準、単位:%、予想は2022年12月6日のDBCC設定目標)
14 15 16 17 18 19 20 21 22予  23予 24-28予
伸び率 6.3 6.3 7.1 6.9 6.3 6.1 -9.5 5.7 6.5-7.5 6.0-7.0  6.5-8.0
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)

 世界銀行による東南アジア諸国等の実質GDP成長率推移(単位:%、推定と予想は世界銀行)
国・地域 2020年 2021年 2022年推 2023年予   2024年予 
世界全体 -3.2 5.9 2.9  1.7  2.7
  東アジア大洋州 1.2 7.2 3.2 4.3 4.9 
    フィリピン -9.5 5.7 7.2   5.4  5.9
    カンボジア -3.1 3.0 4.8  5.2 6.3 
    インドネシア -2.1 3.7 5.2  4.8 4.9 
    ラオス 0.5 2.5 2.5  3.8 4.2 
    マレーシア -5.5 3.1 7.8  4.0 3.9 
    ミャンマー 3.2 -18.0 3.0 3.0
    タイ -6.2 1.5 3.4 3.6 3.7 
    ベトナム 2.9 2.6 7.2 6.3  6.5 
    東ティモール -8.5 2.9 3.0 3.0  3.0 
(出所:世界銀行資料より作成)