在外比人からの送金額、11月5.8%増の29億ドルに

17カ月ぶりの高い伸び、11カ月間で3.4%増の326億ドル

2023/01/17

   フィリピン中央銀行(BSP)対外収支データによると、2022年11月の包括的海外在住フィリピン人(OF)の本国送金額(速報値)は前年同月比5.8%増の29億3,100万米ドルとなった。前年同月比では、2021年6月の7.3%以来、17カ月ぶりの高い伸びとなった。雇用契約1年以上の陸上ベースのOFからの送金額が5.5%増、雇用契約1年未満の陸上・海上ベースのOFからの送金が6.2%増と共に増加したことによる。

 年初11カ月累計では前年同期比3.4%増の326億4,900万米ドルと堅調に推移している。年間ベースでは、2年連続で前年比増加となりそうである。OF送金は依然としてフィリピンの主要な外貨流入源である。


 包括的OF送金額   (単位:百万米ドル、対前年同期伸び率:%)
項目 年間推移 1-11月
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 21年 22年
送金額 31,288 32,213 33,467 33,194 34,884 31,586 32,649
伸び率 5.3 3.0 3.9 -0.8 5.1 5.3 3.4
(出所:BSP資料より作成、2021-22年は速報値)

 月別包括的OF送金額推移   (単位:百万米ドル、対前年同月伸び率:%)
2021年 2022年
11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
送金額 2,770 3,298 2,966 2,793 2,888 2,671 2,705 3,064 3,240 3,017 3,148 3,227 2,931
伸び率 4.8 2.9 2.5 1.2 3.1 3.8 2.0 4.4 2.3 4.4 4.0 3.5 5.8
(出所:BSP資料より作成、全て速報値)

 包括的OF本国送金額(銀行経由現金送金+帰国時持参分+非現金型資産贈与)のうち、BSPが把握している公式銀行ルートによる11月の現金送金額(速報値)は前年同月比5.7%増の26億4,400万米ドルだった。年初11カ月累計では前年同期比3.3%増の293億8,000万米ドル。そのうち陸上ベースのOFからの送金額は3.6%増の233億0,900万米ドル、海上ベースのOFからの送金は2.3%増の60億7,100万米ドル。

 送金元の国別動向については、1位が米国で前年同期比5.1%増の121億6,700万米ドル(シェア41.4%)、2位はシンガポールの3.8%増の20億3,100万米ドル(同6.9%)、3位サウジアラビアの6.2%増の17億1,800万米ドル(同5.8%)、4位日本の1.7%増の14億8,800万米ドル(同5.1%)、5位英国の3.0%増の13億9,400万米ドル(同4.7%)など。

 ただし、情報筋による送金データにはある程度の制約がある。海外の様々な都市の送金センターの一般的なやり方として、コルレス銀行を通じて送金を処理するが、コルレス銀行の大部分が米国にある。また、マネークーリエ(現金宅配)サービスを通じて処理された送金は、実際の送金の出所(国)によって分類できない。

 OFの銀行経由送金額推移  (単位:百万米ドル、対前年同期伸び率:%)
項目 年間推移 1-11月
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 21年 22年
送金額 28,060 28,943 30,133 29,903 31,418 28,430 29,380
伸び率 4.3 3.1 4.1 -0.8 5.1 5.2 3.3
(出所:BSP資料より作成、2021-22年は速報値)

 月別OFの銀行経由送金額推移  (単位:百万米ドル、対前年同月伸び率:%)
2021年 2022年
11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
送金額 2,502 2,987 2,668 2,509 2,594 2,395 2,425 2,755 2,917 2,721 2,840 2,911 2,644
伸び率 5.1 3.3 2.5 1.3 3.2 3.9 1.8 4.4 2.3 4.3 3.8 3.5 5.7
(出所:BSP資料より作成、全て速報値)