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1月のインフレ率8.7%、約14年ぶりの高水準に

3カ月連続8%台、コアインフレ率も7.4%に加速

2023/02/08

　　フィリピン統計庁(PSA)は2月7日、2023年1月の消費者物価(インフレ)統計を発表した。それによると、1月の総合インフレ率(消費者物価指数{2018年=100}の前年同月比)は8.7%となり、前月(2022年12月)の8.1%から一段と加速、3カ月連続の8%突破、現行基準(2018年基準)採用後の最高を更新するとともに、2008年11月の9.1%以来、14年以上ぶりの高インフレとなった。

　そして、中央銀行の直前予想7.5%～8.3%の上限を突破、エコノミスト15名の直前予想コンセンサス(中間値)の7.6％を大幅に上回った。また、政府の2023年のインフレ目標2～4%の上限を大幅に上回った。

　項目別では、食品・非アルコール飲料の上昇率が10.7%と前月の10.2%から加速、水道・光熱費等の上昇率が8.5%と前月の7.0%から加速したことなどが響いた。特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率は7.4%(前月6.9%)であった。

　1月のインフレ率8.7％への項目別寄与度は、食品・非アルコール飲料4.0%(うち食品3.9%)、住宅・水道光熱費1.8%、交通・輸送1.0%、外食・宿泊サービス0.7%、酒類・たばこ0.2%、家具・住宅設備管理0.2%、パーソナルケア類0.2%、健康・医療0.1%、衣料・履物類0.1%、教育0.1%だった。

　総合インフレ率を地域別で見ると、マニラ首都圏は8.6%(前月7.6%)、地方は8.7%(前月8.2%)とそれぞれ上昇ペースが加速した。最もインフレ率が高かった地域は西ビサヤ地域の10.3%、次いで中央ルソン地域の9.8%。一方、最も低かったのは、東ビサヤ地域の6.9%だった。

　総合消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率：2018年基準、前年同月比%)
項目 2022年1月 2022年12月 2023年1月
全国　　 総合インフレ率 3.0 8.1 8.7
　　　　　　コアインフレ率 1.8 6.9 7.4
首都圏　総合インフレ率 1.3 7.6 8.6
地方　　 総合インフレ率 3.5 8.2 8.7
(出所：フィリピン統計庁資料より作成)

　総合CPI上昇率 　(2018年基準、前年同月比%)
項目 2022年 23年
月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月
総合 3.0 3.0 4.0 4.9 5.4 6.1 6.4 6.3 6.9 7.7 8.0 8.1 8.7
食品・非酒類 1.7 1.2 2.6 3.8 4.9 6.0 6.9 6.3 7.4 9.4 10.0 10.2 10.7
酒類・タバコ 5.6 4.7 4.8 5.9 6.8 7.8 8.5 9.3 9.8 10.4 10.6 10.7 10.9
衣料・履物類 2.0 1.9 1.9 2.0 2.1 2.2 2.5 2.8 2.9 3.1 3.6 3.9 4.4
住宅・水道光熱費 4.5 4.8 6.2 6.9 6.5 6.6 5.7 6.8 7.3 7.4 6.9 7.0 8.5
家具・住宅管理 2.4 2.3 2.6 2.6 2.5 2.9 3.1 3.4 3.5 3.8 4.5 4.8 5.2
健康・医療 3.1 2.7 2.5 2.4 2.4 2.6 2.4 2.5 2.4 2.6 2.8 3.1 3.3
交通・輸送 7.0 8.8 10.3 13.0 14.6 17.1 18.1 14.6 14.5 12.5 12.3 11.7 11.2
情報・通信 0.7 0.6 0.7 0.7 0.7 0.5 0.5 0.4 0.5 0.5 0.7 0.7 0.7
娯楽・文化 1.5 1.6 1.5 1.6 1.7 1.9 2.2 2.4 2.7 3.0 3.3 3.9 4.2
教育 0.6 0.6 0.6 0.6 0.6 0.6 0.6 3.8 3.5 3.4 3.6 3.6 3.6
外食・宿泊サービス 3.0 2.9 3.0 2.8 2.8 2.8 3.4 4.2 4.6 5.7 6.5 7.0 7.6
金融サービス 43.3 43.3 43.3 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
パーソナルケア類 2.2 2.2 2.2 2.3 2.5 2.6 2.8 3.3 3.4 3.7 4.2 4.5 5.0
首都圏 1.3 1.9 3.4 4.4 4.7 5.6 5.1 5.7 6.5 7.7 7.5 7.6 8.6
地方 3.5 3.4 4.1 5.1 5.5 6.3 6.8 6.5 7.0 7.6 8.0 8.2 8.7
(出所：フィリピン統計庁資料より作成)

　フィリピンのインフレ率(2018年基準と2012年基準との比較)とインフレ目標の推移
年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年予 2024年予
2018年基準 2.9% 5.2% 2.4% 2.4% 3.9% 5.8% 4.5% 2.8%
2012年基準 2.9% 5.2% 2.5% 2.6% 4.5% N.A. N.A. N.A.
インフレ目標 2～4% 2～4% 2～4% 2～4% 2～4% 2～4% 2～4% 2～4%
(出所：BSP資料より作成、2023-24年はBSPの12月15日時点の予想)

　食料物価上昇率　(2018年基準、前年同月比%)
項目 食品 米 コーン 果実 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 砂糖・菓子類 その他食品
22/1月 1.6 1.0 27.7 -5.7 -10.8 4.3 6.2 0.9 8.5 2.8 1.9
　2月 1.1 1.6 31.3 -4.9 -8.4 1.4 2.9 0.7 8.9 4.9 2.0
3月 2.8 1.6 31.3 -4.0 -0.1 2.9 4.3 0.8 9.1 6.2 2.3
4月 4.0 1.6 27.1 -4.6 9.2 4.2 5.0 1.1 11.7 7.3 2.9
5月 5.2 1.5 24.4 -2.4 15.2 5.4 6.2 1.5 13.6 8.7 3.5
6月 6.4 2.0 24.7 1.1 14.4 8.1 6.7 2.7 15.5 10.9 4.3
7月 7.1 2.1 27.6 3.6 5.6 9.9 9.2 4.5 18.4 17.6 5.2
8月 6.5 2.2 26.1 3.9 -2.7 9.6 7.2 6.5 19.6 26.0 5.8
9月 7.7 2.4 26.2 3.8 3.5 9.0 9.1 7.6 20.1 30.2 6.7
10月 9.8 2.5 27.4 4.9 16.0 11.5 9.4 8.7 20.4 34.4 8.1
11月 10.3 3.1 27.0 6.2 25.8 8.6 8.3 9.4 19.8 38.0 8.9
12月 10.6 3.4 26.3 7.6 32.4 7.4 6.3 9.9 19.2 38.8 9.4
23/1月 11.2 2.7 16.0 9.8 37.8 7.0 6.7 11.3 18.5 38.8 9.2
(出所：フィリピン統計庁資料より作成)

　2023年1月の主要品目のインフレ率(2018年=100)と寄与度
項目 物価指数
構成比		 1月
インフレ率 寄与度
総合 100.00 8.7 8.7
食品・非酒類 37.75 10.7 4.0
　　　うち食品のみ 34.78 11.2 3.9
酒類・煙草 2.16 10.9 0.2
衣料・履物類 3.14 4.4 0.1
住宅・水道光熱費 21.38 8.5 1.8
家具類・住宅管理 3.22 5.2 0.2
健康・医療 2.89 3.3 0.1
交通・輸送 9.03 11.2 1.0
情報・通信 3.41 0.7 0.0
娯楽・文化 0.96 4.2 0.0
教育 1.96 3.6 0.1
外食・宿泊サービス 9.62 7.6 0.7
金融サービス 0.03 0.0 0.0
パーソナルケア類 4.46 5.0 0.2
(出所：BSP資料より作成、インフレ率：%、寄与度：%ポイント) 

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