12月の失業率4.3%、現行基準でのほぼ最低水準

22年平均は5.4%へ低下(前年7.8%)、3年ぶり低水準

2023/02/09

 フィリピン統計庁(PSA)は2月8日、2022年12月の労働力調査(LFS)速報を発表した。それによると、2022年12月の15歳以上の失業率は4.3%で、3カ月連続の4%台だった。前月から0.1%ポイント上昇したが、前年同月からは2.3%ポイント改善した。11月は、2005年4月に現行集計基準を採用してからの17年半で最低の4.2%を記録したが、12月もほぼ同水準であり、新型コロナパンデミックにより現行集計基準での最高となった2020年4月の17.6%から改善傾向が続いているといえよう。

 2022年年間での平均失業率は5.4%となり、2020年の10.4%、2021年の7.8%から改善、新型コロナパンデミック発生直前の2019年の5.1%以来、3年ぶりの低水準となった。不完全就業率に関しても、2022年は平均14.2%となり、2020年の16.4%、2021年の16.0%から改善、2019年の14.0%以来、3年ぶりの低水準となった。

 フィリピンの労働力調査結果の比較
2021 2022
12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
労働参加率(%) 65.1 60.5 63.8 65.4 63.4 64.0 64.8 65.2 66.1 65.2 64.2 67.5 66.4
就業率(%) 93.4 93.6 93.6 94.2 94.3 94.0 94.0 94.8 94.7 95.0 95.5 95.8 95.7
不完全就業率(%) 14.7 14.9 14.0 15.8 14.0 14.5 12.6 13.8 14.7 15.4 14.2 14.4 12.6
失業率(%) 6.6 6.4 6.4 5.8 5.7 6.0 6.0 5.2 5.3 5.0 4.5 4.2 4.3
平均週労働時間 39.7 41.8 40.8 40.6 40.1 39.8 40.3 40.5 40.5 39.6 40.2 39.3 40.3
(出所:PSA資料より作成、2022年は速報値)

 2022年12月の15歳以上の人口7,715万人のうち、労働力人口は前年同月比(以下同様)3.4%増の5,122万人で、労働参加率は66.4%となり、前年同月から1.3%ポイント上昇した。

 就業者数は5.9%増の4,900万人、就業率(雇用率)は95.7%と前年同月を2.3%ポイント上回った。就業者を業種別に分類すると、農業部門が24.0%(前年同月25.6%)、鉱工業部門が17.1%(同17.8%)、サービス部門が58.9%(同56.6%)であった。就業形態は、賃金労働者が全体の61.6%を占め、その48.1%が民間企業労働者、8.7%が政府系企業社員・公務員だった。自営・事業主は全体の29.7%、無給家内労働者は8.7%。また、週平均労働時間は40.3時間で、前年同月の39.7時間を約0.6時間上回った。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の65.0%(前年同月62.7%)。

 不完全就業者(就業者であっても十分な労働時間に満たず追加の仕事を求めているパートタイム労働者)数は9.0%減の620万人で、不完全就業率は12.6%(前年同月14.7%)。不完全就労者全体の62.9%が労働時間週40時間以下だった。

 失業者数は32.4%減の222万人。年齢層でみると、15歳-24歳が全体の32.4%、25歳-34歳が34.6%と合計で全体の67.0%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は33.6%(卒業者は23.4%)、大学進学・卒業者では38.0%(卒業者は26.7%)だった。性別では、男性52.0%、女性48.0%と男性が上回っている。