丸紅、比で森林再生カーボンクレジットプログラム開発

比初の産学官協働、環境資源省、比大学、コンスンヒ財閥

2023/02/11

 丸紅は、2月10日、「フィリピンにて、フィリピン環境天然資源省(DENR)、コンスンヒ財閥の旗艦企業DMCIホールディングス(証券コード:DMC)の親会社であるDACONコーポレーション(DACON)、およびフィリピン大学森林天然資源学部(UPLB)と、森林再生を通じたカーボンクレジットプログラムの開発プロジェクトを推進することに合意し、覚書(MOU)を締結した」と発表した。フィリピンにて初めて産学官が協働し森林再生を通じたカーボンクレジットプログラムを開発する取り組みとなる。

 フィリピンでは、20世紀初頭には国土の約7割を森林が占めていたが、過剰伐採や農地転換等により、2020年時点では約2割にまで減少している。森林の減少は、土砂崩れや洪水被害等、フィリピンが直面している自然災害リスクの主な要因と考えられており、森林再生が喫緊の課題となっている。

 今回のカーボンクレジットプログラムでは、産学官が一体となり、フィリピン政府が掲げる環境保全と地球温暖化対策への寄与という社会公益性に加え、経済性も同時に実現することを目的としている。生物多様性の回復、地域コミュニティにおける雇用を創出し、森林による炭素吸収・固定を通じたカーボンクレジットプログラムの確立を目指す。今後、フィリピン・西ネグロス州での植林を通じた森林再生、およびカーボンクレジットプログラムの枠組みについて協議を進めていく。

 丸紅は、2021年3月に気候変動長期ビジョンを策定、中期経営戦略「GC2024」においてもグリーン戦略を企業価値向上に向けた基本方針の一つと位置付けている。インドネシア、豪州の2カ国で総事業面積約29万ヘクタール、その内約13万ヘクタールの植林面積(東京都の約6割の面積に相当)を管理し、植林事業を展開してきた知見やノウハウを本プロジェクトに活かし、森林資源の環境価値と経済価値を高め、人と森の力でサステナブルな未来を切り拓くことを目指す。

<覚書概要>
・パートナー:DENR、DACON
 事業性調査に関する覚書。3者の知見を共有し、カーボンクレジット創出を目的とした森林再生方針および計画策定。
・内容:吸着系カーボンクレジット(JCM{二国間クレジット制度}もしくはボランタリークレジット)創出に関する覚書。