遂に地域包括的経済連携(RCEP)批准へ、21日に上院が承認

賛成20票、反対1票、大統領の姉のアイミー・マルコス議員は棄権

2023/02/22

 フィリピンがようやく地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を批准することになる。フィリピン上院議会は、2月21日の第3読会と最終読会において、RCEP批准を承認した。

 上院でのRCEP承認決議においては、賛成20票、反対1票、危険1票という結果であった。反対票を投じたのはリサ・ホンティベロス議員で、「RCEPはフィリピンに好ましい成果をもたらすことにはならない」と表明した。棄権したのはマルコス大統領の姉のアイミー・マルコス議員であり、「農家や困窮層には利益をもたらさないと考えたため投票を棄権した」と表明した。

 一方、ファン・ミゲル・ズビリ上院議長は「RCEPは 2031年までに140万人の雇用創出を創出すると予想される。内訳は農業等第1次産業で 30万8,000人の雇用、鉱工業で7万7,000人の雇用、サービス産業で99万1,000人の雇用の創出が見込まれる。また、RCEP非参加の場合は実質GDPが0.26%減少参加の場合は実質GDPの2.02%の増加につながるとの試算もある」と表明した。

 RCEPは2022年1月1日の発効から1年以上が経過したが、フィリピンでは現時点では批准されておらず、参加に至っていない。フィリピン憲法では、自由貿易協定などは上院での承認が必要とされている。批准されても、批准書預託から60日後に発効となるので、フィリピンのRCEP発効は最短でも2023年第2四半期以降となる。したがって、各界から上院による早期の承認を求める声が強まっていた。
 
 なお、2022年11月3日に、インドネシアがRCEP協定の批准書を寄託者であるASEAN事務局長に寄託した。この寄託により、60日後の2023年1月2日にインドネシアについてもRCEP協定が発効となった。今回のインドネシア発効により、既にRCEP協定が発効済みの日本、ブルネイ、カンボジア、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナム、オーストラリア、中国、ニュージーランド、韓国、マレーシア、そしてインドネシアの13カ国が同協定に参加することとなった。RCEP協定署名国で未参加はフィリピンと政変で混乱状況にあるミャンマーのみとなってしまっている。