太平洋セメント、フィリピンでの投資推進意向書に署名

既にセブ工場で300億円の生産ライン更新事業推進中

2023/02/23

 2月22日、太平洋セメント(本社:東京都文京区)は、「2月10日、来日中のフェルディナンド・マルコス・フィリピン共和国大統領立ち会いの下、フィリピン貿易産業省(DTI)とフィリピンにおける投資を推進する意向書に調印した」と発表した。

 太平洋セメントは、2020年11月、連結子会社であるタイヘイヨウセメント フィリピン(TCPI社、本社:セブ州)における生産ライン更新を決定し、2024年5月の稼働に向けて順調に工事を進捗させている。今回、太平洋セメントがTCPI社生産ライン更新プロジェクトを確実に進め、フィリピンへの更なる投資拡大を通じて、フィリピンの発展に貢献する主旨の意向書に、DTIとともに署名した。

 マルコス大統領は、ドゥテルテ前大統領のインフラ投資政策を継承した「ビルド・ベター・モア」を掲げ、インフラ投資の拡充を進めている。また、日本とフィリピン政府は、政府開発援助および官民連携を通してインフラ投資分野における両国間での連携を強化することに合意している。

 フィリピンでは今後も旺盛なセメント需要が予想されており、フィリピン政府は太平洋セメントのプロジェクトへの支援を表明するとともに、太平洋セメントはセメント供給によるインフラ整備への協力の要請を受けた。今後も高品質なセメントを安定的に供給することにより、フィリピンの経済発展に貢献するとともに、環境技術を活用した環境負荷低減にも貢献して行く方針である。

 なお、2022年8月4日、TCPI社工場内において生産ライン更新工事の起工式を開催した。太平洋セメントグループがこれまで培ってきた技術や経験を最大限に活かし、世界的にも最先端の技術を採用した最新鋭の生産ラインを導入する。新ライン導入の総投資額として300億円程度を見込んでおり、セメント生産能力を現行比40%増の年間約300万トンに増強する。また、将来、年間販売量500万トン、販売シェア10%以上を目指していく。
 
 新生産ラインはエネルギー効率が高く、従来に比べてエネルギー由来のCO2排出原単位を10%以上削減することが可能となる。また新生産ラインでは強度発現性の高いクリンカを生産することが可能となり、セメント製造に使用するクリンカ比率を削減することでさらなるCO2排出原単位の削減も期待できる。2021年6月には、国際協力銀行(JBIC)や民間銀行との間で、設備増強のための275億円の協調融資(JBIC分165億円)契約を締結した。新生産ラインの稼働は2024年5月を予定している。

<TCPI社の概要>
・名称:タイヘイヨウセメント フィリピン株式会社
・所在地:フィリピン共和国 セブ州 サンフェルナンド町
・代表者の役職・氏名:取締役社長 伊沢 良仁氏
・資本金 50億ペソ、太平洋セメントが100%出資