キリン出資のサンミゲルビール、売上17%増の1,362億ペソ

国内外で販売好調、営業利益10%増の295億ペソ:2022年速報

2023/03/09

 フィリピンを代表するコングロマリットとなったサンミゲル(証券コード:SMC)グループでビール事業を担当するサンミゲル ブリュワリー(サンミゲル ビール=SMB、現在は非上場企業)の2022年(1月~12月)業績概況が発表された。なお、SMBにはキリン ホールディングス(キリン)が約48%出資している。

 SMBの売上高は前年比(以下同様)17%増の1,362億ペソに達した。新型コロナウイルス感染減少やそれに伴う外出・移動制限大幅緩和、経済の本格再開などにより国内販売が堅調に推移した。国際ビール事業の販売数量も二桁増加した。原燃料費や輸送費などのコスト上昇という収益圧迫要因があったものの、二桁増収効果や効率化などにより、EBITDA(利払い・償却・税金支払い前利益)は10%増の360億ペソ、営業利益も10%増の295億ペソへと増加した。

 なお、SMBは、2008年にサンミゲルの国内ビール事業スピンオフで発足したが、2010年初にはサンミゲルの海外ビール事業も取得している。国内シェアは90%以上と圧倒的な強さを誇っている。起源は1890年に東南アジア初のビール醸造企業として設立されたサンミゲルであり、1914年には上海、香港、グアムなどにビール輸出を開始した。そして、1948年には香港初のビール工場を設立するに至った。すなわち、133年の歴史を有する老舗企業といえる。

 キリンは、サンミゲル本体(SMC)への出資というかたちでフィリピンに進出した。その当時はSMC社自身が国内ビール事業を行っていた。しかし、その後、国内ビール事業部門はSMBとして分社化、SMBは2008年5月12日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場された。したがって、キリンは2009年前半に、保有していたSMC株式6億2,867万6,675株(発行済株式総数の19.91%)を売却、SMB株式48.39%を取得したという経緯がある。

 SMBはその後、PSEの浮動株式比率基準(最低10%)未達成で、2013年5月15日にPSEから自主的上場廃止、上記のように、現在は非上場企業となっている。そして、2018年にサンミゲルグループの食品と飲料事業を大統合して発足したサンミゲルフード&ビバレッジ(SMFB、証券コード:FB)の傘下にある。