22年の経常収支、赤字3倍の178億ドル(GDP比4.4%)に
貿易赤字急増響く、国際総合収支は73億ドルの赤字転落
2023/03/20
フィリピン中央銀行(BSP)は3月17日、国際通貨基金(IMF)の国際収支マニュアル第6版(BPM6)に準拠した2022年第4四半期(10月~12月)および通年の詳細な国際支統計(速報)を発表した。
それによると、2022年第4四半期の経常収支は5億6,100万米ドル(GDP比0.5%)の黒字となり、前年同期の37億米ドル(GDP比-3.3%)の赤字から黒字転換した。物品貿易赤字の縮小に加え、サービス貿易、第一次所得、及び、在外フィリピン人(OF)からの送金など第二次所得収支等の黒字が拡大したことによる。その結果、国際総合収支は、前年同期の20億米ドルの黒字からは大幅に減少したものの、5億6,800万米ドルの黒字となった。
2022年通年の経常収支は178億米ドル(GDP比-4.4%)の赤字に達し、前年の59億米ドル(GDP比-1.5%)の赤字の約3倍に膨らんだ。物品輸入急増にともなう貿易収支の悪化が響いた。その結果として、国際総合収支(BOP)は73億米ドルの赤字(GDP比-1.8%)となり、前年の13億米ドル(GDP比0.3%)の黒字から赤字に転落した。
[総外貨準備高]
2022年12月末時点で、総外貨準備高(GIR)は961億米ドル、前年同月末の1,088億米ドルを11.6%下回った。輸入・第一次所得の7.2カ月分、元本ベース短期対外負債の5.8倍、残存ベース短期対外負債の3.8倍に相当する水準である。2022年第4四半期の為替は1米ドル=57.39ペソと、前期(第3四半期)の56.36ペソに対し1.8%のペソ安。年間では2022年は1米ドル=54.48ペソと、前年の49.25ペソから9.6%のペソ安だった。
国際総合収支の詳細内訳(単位:百万米ドル、増減率表示はBSP方式による)
(出所:BSP資料より作成、注:2022年は全て速報値)
注:金融収支のプラス(マイナス)残高は純流出(純流入)を意味している。
それによると、2022年第4四半期の経常収支は5億6,100万米ドル(GDP比0.5%)の黒字となり、前年同期の37億米ドル(GDP比-3.3%)の赤字から黒字転換した。物品貿易赤字の縮小に加え、サービス貿易、第一次所得、及び、在外フィリピン人(OF)からの送金など第二次所得収支等の黒字が拡大したことによる。その結果、国際総合収支は、前年同期の20億米ドルの黒字からは大幅に減少したものの、5億6,800万米ドルの黒字となった。
2022年通年の経常収支は178億米ドル(GDP比-4.4%)の赤字に達し、前年の59億米ドル(GDP比-1.5%)の赤字の約3倍に膨らんだ。物品輸入急増にともなう貿易収支の悪化が響いた。その結果として、国際総合収支(BOP)は73億米ドルの赤字(GDP比-1.8%)となり、前年の13億米ドル(GDP比0.3%)の黒字から赤字に転落した。
[総外貨準備高]
2022年12月末時点で、総外貨準備高(GIR)は961億米ドル、前年同月末の1,088億米ドルを11.6%下回った。輸入・第一次所得の7.2カ月分、元本ベース短期対外負債の5.8倍、残存ベース短期対外負債の3.8倍に相当する水準である。2022年第4四半期の為替は1米ドル=57.39ペソと、前期(第3四半期)の56.36ペソに対し1.8%のペソ安。年間では2022年は1米ドル=54.48ペソと、前年の49.25ペソから9.6%のペソ安だった。
国際総合収支の詳細内訳(単位:百万米ドル、増減率表示はBSP方式による)
項目 | 第4四半期 | 1月~12月 | ||||
年 | 21年 | 22年 | 増減率(%) | 21年 | 22年 | 増減率(%) |
経常収支 | -3,675 | 561 | 115.3 | -5,943 | -17,832 | -200.1 |
対GNI比(%) | -3.1 | 0.5 | - | -1.5 | -4.2 | - |
対GDP比(%) | -3.3 | 0.5 | - | -1.5 | -4.4 | - |
貿易・サービス・第一次所得収支 | -11,515 | -7,589 | 34.1 | -35,444 | -48,358 | -36.4 |
貿易・サービス収支 | -12,511 | -9,275 | 25.9 | -38,767 | -53,761 | -38.7 |
対GNI比(%) | -10.7 | -7.7 | - | -9.5 | -12.6 | - |
対GDP比(%) | -11.1 | -8.2 | - | -9.8 | -13.3 | - |
物品貿易収支 | -16,290 | -14,564 | 10.6 | -52,806 | -69,393 | -31.4 |
対GNI比(%) | -13.9 | -12.2 | - | -12.9 | -16.2 | - |
対GDP比(%) | -14.5 | -12.9 | - | -13.4 | -17.2 | - |
輸出 | 13,747 | 15,173 | 10.4 | 54,228 | 57,448 | 5.9 |
輸入 | 30,037 | 29,737 | -1.0 | 107,034 | 126,841 | 18.5 |
サービス収支 | 3,779 | 5,290 | 40.0 | 14,039 | 15,631 | 11.3 |
輸出 | 9,257 | 12,347 | 33.4 | 33,570 | 41,070 | 22.3 |
輸入 | 5,478 | 7,058 | 28.8 | 19,531 | 25,439 | 30.2 |
第一次所得収支 | 995 | 1,686 | 69.3 | 3,323 | 5,403 | 62.6 |
第二次所得収支 | 7,840 | 8,150 | 4.0 | 29,501 | 30,526 | 3.5 |
資本移転等収支 | 24 | -8 | -133.0 | 80 | 14 | -83.0 |
金融収支(マイナス勘定) | -5,720 | -1,616 | 71.7 | -6,433 | -12,565 | -95.3 |
直接投資 | -3,859 | -1,294 | 66.5 | -9,732 | -5,300 | 45.5 |
証券投資 | 1,687 | -2,452 | -245.4 | 10,237 | -1,178 | -111.5 |
金融派生商品 | 7 | 31 | 321.4 | 49 | -48 | -198.1 |
その他投資 | -3,555 | 2,099 | 159.0 | -6,987 | -6,039 | 13.6 |
誤差脱漏 | -59 | -1,602 | -2,599.9 | 774 | -2,009 | -359.5 |
国際総合収支 | 2,009 | 568 | -71.7 | 1,345 | -7,263 | -640.2 |
対GNI比(%) | 1.7 | 0.5 | - | 0.3 | -1.7 | - |
対GNI比(%) | 1.8 | 0.5 | - | 0.3 | -1.8 | - |
参考:OFW等の個人送金額合計 | 9,186 | 9,645 | 5.0 | 34,884 | 36,136 | 3.6 |
うち銀行経由分 | 8,301 | 8,714 | 5.0 | 31,418 | 32,539 | 3.6 |
注:金融収支のプラス(マイナス)残高は純流出(純流入)を意味している。