三井物産参画の比トヨタ車事業、製販ともに業績堅調

比トヨタ自動車40%増収、販社トヨタ マニラベイ2.6倍増益

2023/03/28

 三井物産は、フィリピンにおいて、トヨタ自動車やメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル(証券コード:GTCAP)とともにトヨタ車事業を推進しており、トヨタ マニラベイ社(TMBC)に40%を継続出資している。TMBCはフィリピン最大のトヨタ車販社であり、トヨタ車販売シェアは約10%に達している。

 GTキャピタルの2022年情報開示書によると、TMBCの2022年の小売販売台数は前年比(以下、同様)43.6%増の1万7,882台と二桁増になった。その結果、トヨタ車販売シェアは10.3%となり、前年の9.6%から拡大した。販売全体に占める商用車のシェアは67%(前年58%)であった。販売台数の増加やアフターサービスを受けた車両が20.7%増加したことにより、純売上高(自動車販売、部品販売、メンテナンスサービス)は45.1%増の222億7,000万ペソに達した。二桁増収効果や経費抑制効果などにより、純利益は162.1%増(2.6倍)の4億0,600万ペソ。

 TMBCは現在、トヨタ マニラベイ(パサイ市ロハス大通り)、トヨタ アバド サントス(マニラ市ホセ・アバド サントス)、トヨタ クバオ(クバオ市)、トヨタ マリキナ(マリキナ市)、トヨタ ダスマリーニャス(カビテ州ダスマリーニャス)など5つの販売店を有している。

 トヨタ マニラベイ年間業績推移(単位:百万ペソ)

19年 20年 21年 22年 伸び率
純売上高 23,579.6 13,220.4 15,348.1 22,269.7 45.1%
粗利益 1,655.1 1,136.2 1,434.9 2,149.8 49.8%
純利益 224.3 24.5 154.9 406.0 162.1%
(出所:GTキャピタル資料より作成)

 三井物産は、トヨタ自動車のフィリピン製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP)にも15%出資している(GTCAPが51%、トヨタ自動車が34%)。その他、レクサス車販社であるレクサス マニラにも25%出資している。フィリピンでのトヨタ車事業基盤拡充が、製造、販売双方で進展していると言える。

 2022年のレクサス車販売台数は、51.6%増の861台で高級車(プレミアム・オートモービル)市場で連続2位、メルセデス・ベンツの738台を凌いでいる。レクサス マニラはこのほど開業14周年を迎えた。2009年1月14日の開業以来、多くのセダン、SUV、クーペ、ハイブリッド車を投入、高級車市場でBMW、メルセデス・ベンツと3強を形成している。

 既報のとおり、2022年のトヨタモーター フィリピン(TMP)の小売ベースの販売台数は34.3%増の17万4,106台、市場シェアは50.0%に達し、前年の46.3%から一段と拡大、首位の座をさらに強固なものとしている。売上高は40.0%増の1,838億ペソと大幅増収。ただ、原材料価格等の高騰や輸入コストの増加、ドル高ペソ安等で帰属純利益は6.1%減の56億6,000万ペソにとどまったが、利益額は高水準といえよう。

 トヨタモーター フィリピン年間の業績等の推移(単位:百万ペソ、22年は速報値)
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 伸び率
売上高 185,337 158,941 168,616 99,847 131,275 183,810 40.00%
粗利益 23,059 16,620 21,143 13,022 14,545 16,805 15.50%
営業利益 16,798 10,255 12,786 4,545 6,641 7,418 11.70%
帰属純利益 13,186 7,882 9,082 3,306 6,024 5,657 -6.10%
総資産 42,158 36,428 38,751 45,059 44,937 45,343 0.90%
株主資本 19,148 15,238 15,608 9,500 12,853 12,702 -1.20%
(出所:GTキャピタル資料より作成)