中央銀行、3月のインフレ率を7.4%~8.2%と予想

4月5日に発表、高水準も5カ月ぶり8%台割れの可能性

2023/04/02

 フィリピン統計庁(PSA)は、2023年5月5日午前9時、2023年3月の消費者物価(インフレ)統計を発表する予定である。それに先立ち、フィリピン中央銀行(BSP)は、3月31日、「2023年3月の消費者物価上昇率(総合インフレ率、前年同月比、2018年基準)は7.4%~8.2%の範囲内であったと推定している」と発表した。

 BSPは、2023年3月は国内石油製品価格の反落、鶏肉、砂糖の値下がりなどがインフレ圧力を緩和したと見ている。その一方、マニラ電力(メラルコ)の電力料金値上げ、豚肉、魚介類、卵、砂糖、コメなどの値上がりなどがインフレ圧力となったと見ている。これらの結果、3月のインフレ率は5カ月ぶりに8%台割れとなった可能性もあるが、依然高インフレが続いていると判断している。そして、「統計やデータの基づく金融政策策定によって、継続するインフレリスクに適切に対応する用意がある」と表明した。
 
 ちなみに、2023年2月の総合インフレ率(消費者物価指数{2018年=100}の前年同月比)は8.6%となり、14年以上ぶりの高水準であった前月(1月)の8.7%から僅かに減速したものの、4カ月連続の8%台となった。そして、コアインフレ率は7.8%で前月の7.4%から一段と加速した。年初2カ月の平均総合インフレ率は8.6%で、政府の2022年のインフレ目標(2.0%~4.0%)の上限をかなり超えている。マニラ首都圏は8.7%上昇、地方は8.6%上昇した。平均コアインフレ率は7.6%となった。
 
 フィリピン中央銀行は(BSP)は、3月23日の0.25%追加利上げ決定に際して、2023年インフレ率予想について、それまでの6.1%から6.0%へと小幅下方修正した。しかし、依然高インフレが続き、2023年もインフレ目標の上限を大幅に突破、インフレ目標は実質3年連続で未達成と懸念している。2024年については、それまでの3.1%から2.9%へと下方修正した。これまでどおり、2024年にようやくインフレ目標内に収斂すると見ている。

  フィリピンのインフレ率推移(2012年基準と2018年基準との比較)
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年  2022年  2023年予  2024年予
2018年基準 N.A.    N.A.   N.A.  5.2% 2.4%  2.4%  3.9%  5.8%  6.0%  2.9% 
2012年基準 0.7% 1.3% 2.9% 5.2% 2.5% 2.6% 4.5% N.A.    N.A.     N.A.   
インフレ目標 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4%  2~4%  2~4%  2~4%
 (出所:PSA資料などより作成、2023年以降の予想はBSPの2023年3月23日時点の予想)