日清食品の比即席麺事業、22年純利益12%増の11億ペソ

売上高24%増の99億ペソ、コスト増をこなし最高益更新継続

2023/04/05

 日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ財閥の有力食品企業ユニバーサル ロビーナ(証券コード:URC)との合弁企業「ニッシン ユニバーサル ロビーナ(ニッシンURC、1996年設立、会計期末12月、本社:マニラ首都圏ケソン市)」を通じて即席麺(インスタントラーメン)事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。

 URCの2022年(1月~12月)事業報告書によると、表1のように、ニッシンURCの2022年の売上高は前年比(以下同様)24%増の98億9,100万ペソに達した。需要増加と値上げ効果などによる。二桁増収効果などで、小麦等の原材料費、燃料費、輸送費などのコスト急増をこなし、EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は10%増の16億3,800万ペソ、純利益は12%増の10億7,100万ペソと二桁増益、過去最高益更新を継続した。ロシアによるウクライナへの武力侵攻等に伴う原燃料価格上昇という環境下で堅調な業績推移が続いているといえよう。

 特に近年は1人当たりのGDPや可処分所得が増加したことにともない、より付加価値の高いカップ麺の需要が高まっており、ニッシンURCの主力製品である「カップヌードル」の販売は好調に推移している。ニッシンURCはカップ麺ではトップシェアを誇り、フィリピン即席麺全体の需要の伸びを上回る成長を続けている。フィリピンでは、メリエンダと呼ばれる午後のおやつの習慣があり、メリエンダ向けなどにミニサイズのカップ麺販売も好調である。2020年以降は新型コロナウイルス感染対策としての地域隔離措置の下での外出・移動制限措置や外食事業規制のもとでの家庭内食事(内食)需要や保存食需要、すなわち巣籠り需要が加わったことで、売上拡大に拍車がかかった。

 なお、フィリピンでの袋麺のトップ企業は、「ラッキーミー」ブランドで知られるモンデ ニッシン(証券コード:MONDE)である。社名に「ニッシン」が含まれており紛らわしいが、日清食品など日本企業との資本関係はない。MONDE発表によると、MONDEのフィリピン即席麺市場のシェアは2020年69.2%、2021年が69.5%と断トツ。また、英国の代替肉(植物性たんぱく)メーカー「クオーン」を買収、傘下に収めている。2021年6月7日にフィリピン証券取引所(PSE)メインボードに新規上場した。

 表1.ニッシンURCの年間業績推移(単位:百万ペソ)

項目 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年  2021年 2022年  伸び率
売上高 4,361 5,103 5,815 6,345 7,406 7,968 9,891 24% 
EBITDA 777 890 975 1,156 1,472 1,493 1,638 10% 
純利益 475 559 603 717 893 960 1,071 12% 
(出所:URC年次報告書から作成)

 表2.インスタントラーメンの世界総需要と上位10市場(単位:億食)
順位 国/地域 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
1 中国/香港 404.3 385.2 389.6 402.5 414.5 463.5
2 インドネシア 132.0 130.1 126.2 125.4 125.2 126.4
3 ベトナム 48.0 49.2 50.6 52.0 54.3 70.3
4 インド 32.6 42.7 54.2 60.6 67.3 67.3
5 日本 55.4 56.6 56.6 57.8 56.3 59.7
6 米国 40.8 41.2 41.3 45.2 46.3 50.5
7 フィリピン 34.8 34.0 37.5 39.8 38.5 44.7
8 韓国 36.5 38.3 37.4 38.2 39.0 41.3
9 タイ 30.7 33.6 33.9 34.6 35.7 37.1
10 ブラジル 23.7 23.7 22.5 23.9 24.5 27.2
世界合計 974.9 975.2 1,001.1 1,036.2 1,064.2 1,165.6
(出所:世界ラーメン協会資料より作成)