大阪ガスとAG&PのLNG基地稼働、フィリピン第1号に

JBICも出資、8日に受入開始、サンミゲル系発電所へ供給

2023/04/14

 大阪ガスとAGPインターナショナルホールディングス(AGP IH)によるバタンガスでの液化天然ガス(LNG)輸入ターミナル(バタンガスLNG基地)事業第1期の稼働が開始された。

 AGP IHの親会社AG&PのFacebook等によると、バタンガスLNG基地において、4月8日、浮体式LNG貯蔵・処理船舶がアラブ首長国連邦(UAE)ダス島から出荷されたLNGの受け取りを開始した。このLNGは16万1,900立方メートル級のLNGタンカー「Golar Glacier」によって運搬され、フィリピンに到着した。第1期事業は2022年9月に操業を開始する予定だったが、新型コロナウイルスパンデミックや世界的な供給網混乱などにより若干遅れが生じた。

 バタンガスLNG基地第1期は年間300万トンの処理能力を有しており、サンミゲル(証券コード:SMC)グループが所有・運営するバタンガスのイリハン発電所(1,200MW)にほぼ全量供給することが決定されている。そして、増設により年間500万トンの処理能力構築を目指している。

 AGP IHは、2022年年初、浮体式LNG貯蔵・処理設備(貯蔵・処理設備を搭載した船)に関して、アブダビ国営石油ロジスティクス&サービス社との間で、日本製のMOSS型船舶(貯蔵量13万7,512立米)の15年間チャーター契約を締結した。チャーター船は洋上ターミナルの一部となるが、昨年11月に到着した。

 大阪ガスは、2019年7月、100%子会社であるOsaka Gas Singapore Pte. Ltd.(OGS)を通じ、国際協力銀行(JBIC)とともにAGP IHに出資、AGP IHと天然ガスバリューチェーンに関する戦略的協業契約を締結した。合計出資額は100億円。AG&Pグループは、フィリピンにおいて100年以上の歴史(1900年創立)を持つ建設・エンジニアリング事業を基盤とする企業グループである。

 大阪ガスは、AGP IHへの出資を通じて、フィリピンの新規LNG受入基地事業及び都市ガス事業へ参画するとともに、国内で培った両事業のノウハウを活かしてAGPとの協業を促進させつつある。上記の出資および戦略的協業契約の締結により、AG&Pグループが有するLNG事業における案件発掘力やエンジニアリング力と、大阪ガスが国内で蓄積してきたLNGやパイプラインなどに関する知見を相互に活用することで、東南アジアをはじめとしたLNG新興国において、LNG基地事業や発電事業およびLNG供給事業などを含めた天然ガスバリューチェーンの構築に取り組んでいく。

 なお、ロペス財閥傘下の発電企業ファースト ジェン社(PSE証券コード:FGEN)と東京ガスも、FGENバタンガスLNG(液化天然ガス)受入基地建設事業を推進しつつある。この受入基地は、バタンガス市に立地するFGENクリーンエネルギー・コンプレックス(FGENコンプレックス)内に建設されつつある。この事業における初期プロジェクトともいえるLNG洋上基地建設が進展しており、今年後半にLNG輸入が開始される見込み。