ジョリビー1,204店VSマクドナルド704店:2022年末

比外食バーガー市場、今後は新消費行動対応焦点に

2023/04/16

 フィリピンでは、ハンバーガーのジョリビーが、国民食とまで称されるほどの圧倒的な支持を得てきている。マクドナルドがハンバーガー市場でトップになれない唯一の主要国がフィリピンでもある。
 
 ジョリビーはフィリピン最大のファストフード企業ジョリビー フーズ(証券コード:JFC)によって運営されている。2022年末のJFCの国内店舗数は3,285店、海外店舗数は3,195店、国内外総店舗数は6,480店である。店舗数が多いブランドは、ハンバーガーのジョリビー1,582店(国内1,204店)、CBTL1,071店、中華のチャウキン613店、ハイランズ・コーヒー605店、鶏肉・バーベキューのマン・イナサル574店など。

 2022年末現在の国内外総店舗数は6,480店(国内3,285店、海外3,195店)。海外の内訳は、中国496店、北米385店、EMEAA328店、スーパーフーズ(主にベトナム)635店、CBTL1,071店、Milksha280店。店舗数が多いブランドは、ハンバーガーのジョリビー1,582店(国内1,204店)、コーヒービーン&ティーリーフ(CBTL)1,071店、中華のチャウキン613店、ハイランズ・コーヒー605店、鶏肉・バーベキューのマン・イナサル574店など。

 上記のように、ハンバーガー・チェーンのジョリビーの2022年末の国内店舗数は1,204店で、前年末の1,184店から20店、率にして1.7%の純増。2020年から2021年までの新型コロナウイルス感染拡大やその対策としての地域隔離措置を背景とした店舗網縮小から、小幅ながら再増加に転じている。
 
 一方、マクドナルド フィリピン(比マクドナルド)は、当地の有力持株会社アライアンス グローバル グループ(証券コード:AGI)関連会社のゴールデンアーチス デベロップメント(GADC)によって展開されている。第1号店は1981年にオープンした。このほど発表されたAGIの年次報告書によると、2022年末の比マクドナルド店舗数は704店で、前年末の671店から33店、率にして4.9%の純増となった。
 
 このように最近は比マクドナルドの積極展開が目立つが、ジョリビーの国内店舗数1,204店は、比マクドナルドの704店の1.7倍であり、依然大きな差がある。ジョリビーのグループ企業である比バーガーキング125店を加えればその差はさらに拡大、ジョリビー連合が1,329店で比マクドナルド704店の1.9倍となる。

 フィリピンにおいて、ジョリビーがマクドナルドを圧倒している大きな理由は、フィリピン人の食習慣や嗜好を的確に把握したメニューを開発、提供していることであると考えられる。ただし、業界を取り巻く環境は大きく変化している。ファーストフード・チェーンのこれまでの最優先課題は多店舗展開による集客数の拡大であったといえるが、今後は、新型コロナウイルス感染拡大を契機とする消費者行動の変化に対応することも不可欠となる。宅配、テイクアウト、ドライブスルーという形態を選好するという消費行動が強まり、『ニューノーマル(新常態)』化すると予想されている。すなわち、これまでの店内での飲食中心の業態見直し、注文・支払いを容易かつ迅速化するデジタル化戦略が一層重要となる。このような状況下での両社の店舗戦略、店舗数、販売戦略などがどう変化していくか注目される。