3D義足のインスタリム、ウクライナ紛争被害者を支援

フィリピン発の割安・短納期の3Dプリント義足提供事業開始

2023/04/23

   3Dプリンティングおよび機械学習(AI)技術を活用して、世界初となる3Dプリント義足を海外で製造販売するインスタリム(本社:東京都千代田区)は、4月21日、「長期化するウクライナ紛争において激増するウクライナ市民の脚切断患者に対する、100本の義足提供を目的として、独自の3D・デジタル遠隔製造技術を用いた義足提供プロジェクトを立ち上げ、このための事業費の募集をクラウドファンディングサイト『READYFOR』にて開始した。募集期間は2023年4月21日(金)から6月19日(月)で、募集金額は530万円を目指す」と発表した。

 その発表によると、ウクライナでは現在、最大5,000人もの人が『義足』を必要としているが、圧倒的に義足を作る人材が不足している状況である。義足製作は世界を見渡しても未だ、そのほとんどが手作業であり、ウクライナでは現在、この手仕事の職人の多くが国外に避難してしまっている上、国内に残された数少ない職人の人的リソースは、主に最前線で負傷した兵士のための義足製作にほぼ特化して利用されているからである。

 インスタリムは、世界ではじめて「デジタル製作による、3Dプリント義足」を商用化した日本のスタートアップである。インスタリムの技術なら、従来の手作業と比べ、生産効率を10倍程度に向上させることができる。これまで、フィリピンとインドを拠点に、金銭的理由で義足を購入できない人たちに向けて、従来製品の約10分の1以下となる3Dプリント義足を届ける事業に邁進してきた。

 今回の紛争において、5,000人もの人が『義足』を必要としていると知り、2023年1月に実際にウクライナを訪れて、現地の医療機関や義肢装具製作所への調査を行った。そして、「インスタリムのデジタル義足製作技術でなら、ウクライナの市民により多くの義足を届けられる」と理解した。そして、今まさに義足を待っているウクライナの人たちに向け、まずは100本の義足を届けようと、クラウドファンディングを立ち上げ、資金の募集を開始した。

 義足は、一人一人の体に合わせて医学的に最適な形状を手作りする必要があり、1本あたり30~100万円と高価であるため、糖尿病性壊疽などの血管疾患や交通事故などで脚の一部を無くしたにもかかわらず義足を購入できない人が、未だ世界に4,000万人以上存在すると言われている。このような社会課題を解決するために、インスタリムは3DプリンティングおよびAI技術を活用した新しいデジタル製造ソリューションを開発し、従来の約10分の1水準となる低価格で、かつ短納期の3Dプリント義足を、2019年よりフィリピンにて、2022年よりインドにて製造販売している。2023年現在で、すでに1,000名以上のユーザーに義足を提供して好評を得ており、継続的に毎月100名程度に義足を販売している。