国営ランドバンクとDBP、11月までに合併で最大行となる可能性

22年末の合計総資産4兆2千億ペソ、現最大行BDOの4兆ペソ越え

2023/05/06

 国営銀行2行の合併が2023年11月までに実現、新たな最大銀行が誕生する可能性がある。

 合併手続きが進められているのは、国営のランドバンク オブ ザ フィリピン(ランドバンク)とデベロップメント バンク オブ ザ フィリピン(DBP、フィリピン開発銀行)である。これまでは、融資先の棲み分けがなくなり、農業分野などへの融資意欲が衰える可能性があるなどとして反対する声も多かったが、このところの欧米等の金融不安を背景に、一気に合併推進機運が強まり、11月までにランドバンクを存続銀行とする合併が実現する可能性が高まった。
 
 フィリピン財務省(DOF)のベンジャミン・ディオクノ大臣は、5月5日、「DOFは、2023年11月までにランドバンクとDBPの合併手続きを完了することを目標としている。既にGCG(政府所有・管理企業ガバナンス委員会)の承認を受けて、5月中に合併に関するマルコス大統領令が発令されると見込まれる。10月に中央銀行(BSP)金融委員会の承認が行われ、11月までに両行が公式に合併されることになろう」と表明した。

 この合併により、新たな最大銀行が誕生することになりそうである。2022年末の総資産はランドバンクが約3兆1,350億ペソ、DBPが1兆0,450億ペソ、単純合算すると4兆1,800億ペソとなる。現在の最大銀行であるSM財閥傘下のBDOユニバンクの総資産4兆0,741億ペソを上回り国内首位となる。もっとも、SM財閥はチャイナ バンキング コーポレーション(チャイナバンク、中国のチャイナバンクとは異なる、証券コード:CHIB)というもう一つの有力銀行を有している。CHIBの総資産は1兆3,300億ペソである。2022年の純利益に関しては、ランドバンクが前年比38%増の301億ペソ、DBPは同50%増の56億ペソ、合計357億ペソであった。一方、BDOの純利益は同33%増の571億ペソであった。