日清食品の即席麺合弁事業、第1四半期65%増益

売上高34%増の31億ペソ、カップ麺堅調で収益拡大続く

2023/05/08

 日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ財閥の有力食品企業ユニバーサル ロビーナ(証券コード:URC)との合弁企業「ニッシン ユニバーサル ロビーナ(ニッシンURC、1996年設立、会計期末12月、本社:マニラ首都圏ケソン市)を通じて即席麺(インスタントラーメン)事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。

 5月5日に発表されたURCの2023年第1四半期(1月~3月)事業報告書によると、表1のように、ニッシンURCの2023年第1四半期の売上高は前年同期比(以下同様)34%増の30億7,600万ペソに達した。EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は40%増の4億4,200万ペソ、純利益は65%増の3億1,700万ペソと大幅増収増益決算となった。損益面では、前年同期がロシアのウクライナ侵攻に伴う原燃料価格の高騰で17%減益だったことの反動という要素もあるが、収益拡大基調が続いている。

 表2のように、年間ベースでも上昇基調が続いている。特に、新型コロナパンデミック発生の2020年の売上高は前年比(以下同様)17%増の74億0,600万ペソ、純利益は25%増の8億9,300万ペソと非常に好調であった。フィリピンにおけるカップ麺需要の拡大を背景に近年は増収増益が続いてきているが、新型コロナ禍でも外出・移動制限措置や外食事業規制のもとでの家庭内食事(内食)需要や保存食需要、すなわち巣籠り需要が加わったことで、業績向上に拍車がかかった。新型コロナ感染減少の2022年以降も需要拡大や値上げ効果などで収益は更に拡大している。

 特に近年は1人当たりのGDPや可処分所得が増加したことにともない、より付加価値の高いカップ麺の需要が高まっており、ニッシンURCの主力製品である「カップヌードル」の販売は好調に推移している。ニッシンURCはカップ麺ではトップシェアを誇り、フィリピン即席麺全体の需要の伸びを上回る成長を続けている。
 
 なお、フィリピンでの袋麺のトップ企業は、「ラッキーミー」ブランドで知られるモンデ ニッシン(証券コード:MONDE)である。社名に「ニッシン」が含まれており紛らわしいが、日清食品との資本関係はない。MONDE発表によると、MONDEのフィリピン即席麺市場のシェアは2020年69.2%、2021年が69.5%と断トツ。また、英国の代替肉(植物性たんぱく)メーカー「クオーン」を買収、傘下に収めている。2021年6月7日にフィリピン証券取引所(PSE)メインボードに新規上場した。

 表1.ニッシンURCの第1四半期業績比較(単位:百万ペソ)
項目 20年1Q 21年1Q 22年1Q  23年1Q 前年同期比
売上高 1,797 1,924 2,289 3,076 +34%
EBITDA 389 387 315  442 +40%
純利益 239 230 192 317 +65%
(出所:URC第1四半期始業報告書から作成)

 表2.ニッシンURCの年間業績推移(単位:百万ペソ)
項目 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年  2021年 2022年  伸び率
売上高 4,361 5,103 5,815 6,345 7,406 7,968 9,891 24% 
EBITDA 777 890 975 1,156 1,472 1,493 1,638 10% 
純利益 475 559 603 717 893 960 1,071 12% 
(出所:URC年次報告書から作成)