第1四半期の小売企業、総じて大幅増収増益
最大手SMリテールやセブン-イレブンは過去最高収益
2023/05/25
フィリピン証券取引所(PSE)上場の小売企業の2023年第1四半期(1月~3月)事業報告書提出が出揃った。非上場ではあるが最大手の総合小売企業であるSMリテールの業績概要も、親会社のSMインベツトメンツ(証券コード:SM)の事業報告書で明らかとなった。
新型コロナウイルス感染減少やそれに伴う外出・移動制限大幅緩和や経済再開本格化を背景に、総じて業績は大幅続伸となった。主要上場企業9社とSMリテール計10社のうち、ロビンソンズ リテール(証券コード:RRHI)を除く9社が増益もしくは黒字転換となった。RRHIも一時的損益を除いた実質ベースでは21%増益であった。最大手のSMリテールの収入は前年同期比(以下同様)22%増の912億ペソ、純利益は51%増の39億ペソで、パンデミック前の2019年第1四半期の売上高790億ペソ、純利益は27億ペソを大幅に上回り、第1四半期としては、収益ともに過去最高となった。
新型コロナ禍で特に苦戦を強いられた百貨店や高級品・贅沢品の売上比率の高い企業が回復ピッチを強めた。ルスタンで知られるSSIグループ(証券コード:SSI)は573%増益(約6.7倍)、メトロリテールストアーズグループ(証券コード:MRSGI)は80%増益。食料品や必需品の比率が高く、パンデミック発生後も営業制限の影響がほとんどなく好調を維持してきたピュアゴールド プライスクラブ(ピュアゴールド、証券コード:PGOLD)は引き続き増収増益であったが、規制緩和で競争が厳しくなったこと、比較対象の前年同期が好調であったことで増収率・増益率ともに10%台と他社よりは緩やかな伸びであった。
コンビニエンスストアは、如何なる時でも営業継続を要請される業態ではある。しかし、コロナ禍では移動の制限で従業員出勤や配送面での困難さという問題で一時休業を余儀なくされる店舗が出たこと、断続的な店内での飲食禁止措置発動などが響き厳しい決算が続いた。しかし、今第1四半期は外出・移動制限の大幅緩和で業績の再上昇ピッチが高まった。業界断トツのセブン-イレブンを展開するフィリピン セブン(証券コード:SEVN)は収入が36%増の175億ペソ、既存店23%増収、純利益は165%増(約2.7倍)の5億2,800万ペソで、第1四半期としては収益ともに一気に過去最高となった。純利益は2019年第1四半期の1億1,220万ペソから約4.7倍に拡大した。
上場小売企業とSMリテールの2023年第1四半期の業績比較(単位:百万ペソ)
(出所:2023年第1四半期事業報告書などより作成、店舗数には簡易店舗や臨時店舗は含まず)
上場小売企業とSMリテールの2022年の業績比較(単位:百万ペソ)
(出所:2022年事業報告書などより作成、店舗数には簡易店舗や臨時店舗は含まず)
フィリピンセブン-イレブン既存店の増収率の推移
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)
フィリピンセブン-イレブン店舗数(年末値)とPSC純利益推移(単位:百万ペソ、2023年は第1四半期)
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)
新型コロナウイルス感染減少やそれに伴う外出・移動制限大幅緩和や経済再開本格化を背景に、総じて業績は大幅続伸となった。主要上場企業9社とSMリテール計10社のうち、ロビンソンズ リテール(証券コード:RRHI)を除く9社が増益もしくは黒字転換となった。RRHIも一時的損益を除いた実質ベースでは21%増益であった。最大手のSMリテールの収入は前年同期比(以下同様)22%増の912億ペソ、純利益は51%増の39億ペソで、パンデミック前の2019年第1四半期の売上高790億ペソ、純利益は27億ペソを大幅に上回り、第1四半期としては、収益ともに過去最高となった。
新型コロナ禍で特に苦戦を強いられた百貨店や高級品・贅沢品の売上比率の高い企業が回復ピッチを強めた。ルスタンで知られるSSIグループ(証券コード:SSI)は573%増益(約6.7倍)、メトロリテールストアーズグループ(証券コード:MRSGI)は80%増益。食料品や必需品の比率が高く、パンデミック発生後も営業制限の影響がほとんどなく好調を維持してきたピュアゴールド プライスクラブ(ピュアゴールド、証券コード:PGOLD)は引き続き増収増益であったが、規制緩和で競争が厳しくなったこと、比較対象の前年同期が好調であったことで増収率・増益率ともに10%台と他社よりは緩やかな伸びであった。
コンビニエンスストアは、如何なる時でも営業継続を要請される業態ではある。しかし、コロナ禍では移動の制限で従業員出勤や配送面での困難さという問題で一時休業を余儀なくされる店舗が出たこと、断続的な店内での飲食禁止措置発動などが響き厳しい決算が続いた。しかし、今第1四半期は外出・移動制限の大幅緩和で業績の再上昇ピッチが高まった。業界断トツのセブン-イレブンを展開するフィリピン セブン(証券コード:SEVN)は収入が36%増の175億ペソ、既存店23%増収、純利益は165%増(約2.7倍)の5億2,800万ペソで、第1四半期としては収益ともに一気に過去最高となった。純利益は2019年第1四半期の1億1,220万ペソから約4.7倍に拡大した。
上場小売企業とSMリテールの2023年第1四半期の業績比較(単位:百万ペソ)
企業名 | 店舗数 | 収入 | 増減率 | 純利益 | 増減率 | 純利益率 |
ピュアゴールド プライスクラブ | 531 | 45,114 | 15% | 2,406 | 12% | 5% |
ロビンソンズ リテール | 2,327 | 44,928 | 13% | 683 | -46% | 2% |
フィリピン・セブン | 3,453 | 17,516 | 36% | 528 | 165% | 3% |
ウイルコン デポ | 85 | 8,745 | 13% | 962 | 13% | 11% |
メトロ リテールストアーズ G | 60 | 8,390 | -2% | 60 | 80% | 1% |
SSIグループ | 516 | 6,239 | 39% | 456 | 573% | 7% |
オールホーム | 60 | 2,921 | -10% | 212 | 黒字転換 | 7% |
オールデーマーツ | 36 | 2,441 | 6% | 89 | 黒字転換 | 4% |
メリーマート・コンシューマー | 103 | 1,752 | 46% | 19 | 53% | 1% |
SMリテール(SMICが上場) | 3,590 | 91,200 | 22% | 3,900 | 51% | 4% |
上場小売企業とSMリテールの2022年の業績比較(単位:百万ペソ)
企業名 | 店舗数 | 収入 | 増減率 | 純利益 | 増減率 | 純利益率 |
ピュアゴールド プライスクラブ | 525 | 187,487 | 12% | 9,287 | 14% | 5% |
ロビンソンズ リテール | 2,310 | 179,980 | 17% | 6,436 | 33% | 4% |
フィリピン・セブン | 3,393 | 63,452 | 40% | 2,057 | 黒字転換 | 3% |
メトロ リテールストアーズ G | 62 | 38,345 | 22% | 917 | 黒字転換 | 2% |
ウイルコン デポ | 83 | 33,975 | 22% | 3,848 | 50% | 11% |
SSIグループ | 524 | 23,802 | 54% | 1,930 | 1178% | 8% |
オールホーム | 60 | 12,565 | 123% | 934 | -35% | 7% |
オールデーマーツ | 36 | 9,760 | 3% | 302 | -22% | 3% |
メリーマート・コンシューマー | 103 | 6,717 | 71% | 322 | 846% | 5% |
SMリテール(SMICが上場) | 3,512 | 378,200 | 24% | 17,900 | 86% | 5% |
フィリピンセブン-イレブン既存店の増収率の推移
年/四半期 | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | 年間 |
2023 | +23.3% | - | - | - | - |
2022 | +16.1% | +39.2% | +35.2% | +26.6% | +28.8% |
2021 | -20.1% | -5.1% | +3.4% | +8.5% | -4.6% |
2020 | +2.5% | -25.5% | -25.2% | -23.7% | -18.4% |
2019 | +6.8% | +13.0% | +10.1% | +10.1% | +10.3% |
フィリピンセブン-イレブン店舗数(年末値)とPSC純利益推移(単位:百万ペソ、2023年は第1四半期)
時期 | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 | 18年 | 19年 | 20年 | 21年 | 22年 | 23年1Q |
店舗数 | 1,282 | 1,602 | 1,995 | 2,285 | 2,550 | 2,864 | 2,978 | 3,073 | 3,393 | 3,453 |
純利益 | 873 | 1,008 | 1,176 | 1,318 | 1,532 | 1,445 | -420 | -461 | 2,057 | 528 |