5月の株価2.23%下落、5カ月間で1.36%下落と低調

コロナ前の水準に戻らず、銀行株堅調、不動産株下落

2023/06/01

 フィリピンの代表的株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)の2023年5月31日の終値は6,477.36ポイントとなり、前月末から2.23%下落した。前年同月末からは4.39%下落となっている。5月の終値ベースでの最高値は5日の6,685.66ポイント。最安値は31日の6,477.36ポイントで、4月19日の6.446.35ポイント以来、約1か月半ぶりの6,400台への下落となった。

 5月上旬は、第1四半期の企業業績が総じて回復傾向であったことなどを好感し比較的堅調な展開であった。しかし、中旬以降は米国政府債務の上限引き上げ交渉難航や、米国連邦準備委員会(FRB)による利上げが継続されるとの観測、中国景気懸念などを背景に軟調な展開へと変わった。

 また、国際的な機関投資家が運用のベンチマークとして採用しているモルガンスタンレー キャピタル インターナショナル(MSCI)指数の5月の定期再構築(リバランス)の動きが下落に拍車をかけた。このリバランスにおいては、MSCIでの比重低下の銘柄が多く相場にはマイナスとなった。MSCI指数から除外されるモンデ ニッシン(証券コード:MONDE)は急落した。

 2023年5カ月間ではPSEiは1.36%の下落。国内外のインフレや金融政策動向に左右される上値が非常に重い展開で、新型コロナウイルスパンデミック発生前の水準を回復出来ない状況が続いている。5カ月間の大分類セクター別指数については、金融株(+10.15%)及び持株会社株(+0.89%)が上昇した。一方、不動産株(-9.37%)、鉱業・石油株(資源株、-7.81%)、サービス業株(-7.12%)、工業株(-1.60%)は下落した。金融株は、銀行の不良債権比率の急ピッチの改善や業績回復が好感されている。一方、金利上昇という環境下で、金利敏感の代表格である不動産株は軟調な展開が続いている。

 PSE指数(PSEi)の推移(年末値/月末価)
時期 年末・月末値 上昇率
2012年 5,812.73ポイント 32.95%
2013年 5,889.83ポイント 1.33%
2014年 7,230.57ポイント 22.76%
2015年 6,952.08ポイント -3.85%
2016年 6,840.64ポイント -1.60%
2017年 8,558.42ポイント 25.11%
2018年 7,466.02ポイント -12.76%
2019年 7,815.26ポイント 4.68%
2020年 7,139.71ポイント -8.64%
2021年 7,122.63ポイント -0.24%
2022年 6,566.39ポイント -7.81%
2023年 1月末 6,793.25ポイント 3.45%
2月末 6,556.20ポイント -3.49%
3月末 6,499.68ポイント -0.86%
4月末 6,625.08ポイント 1.93%
5月末 6,477.36ポイント -2.23%
5カ月間 - -1.36%
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)

 
フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率
項目 19年 20年 21年 22年 23年5カ月間 23年5月末指数
フィリピン証券取引所指数 4.68% -8.64% -0.24% -7.81% -1.36% 6,477.36
全株指数 2.92% -8.11% -10.64% -9.33% -0.11% 3,458.30
  金融株指数 4.71% -22.32% 10.95% 2.42% 10.15% 1,812.01
  工業株指数 -12.02% -2.51% 10.76% -10.12% -1.60% 9,201.32
  持株会社株指数 3.41% -3.13% -7.44% -5.49% 0.89% 6,490.26
  不動産株指数 14.51% -11.80% -12.14% -9.04% -9.37% 2,654.15
  サービス業株指数 6.13% -1.11% 31.19% -17.73% -7.12% 1,517.94
  鉱業・石油株指数 -1.32% 17.75% 0.77% 12.57% -7.81% 9,964.78
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)