銀行の第1四半期決算、BDOが収益・資産ともに断トツ

総資産4兆ペソ、純収入623億ペソ、純利益165億ペソ

2023/06/02

 フィリピン証券取引所(PSE)上場の民間銀行の2023年第1四半期の(1月~3月)事業報告書発表が出揃った。主要8行の動向は表1と表2のとおり(個別の詳細は別掲)であるが、新型コロナ対策としての外出・移動規制の大幅緩和、本格的経済再開を背景に総じて好業績となった。

 当四半期は総じて主力の純金利収入が大幅増加した。純金利収入の増加率が大きかったのは、ユニオンバンク オブ ザ フィリピン(ユニオンバンク、UBP)の42.5%増、メトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、MBT)の28.8%増、BDOユニバンク(BDO)の28.0%増など。純金利収入の額では、BDOの434億ペソが断トツ、メトロバンクの249億ペソ、バンク オブ ザ フィリピン アイランズ(BPI)の242億ペソと続く。営業純収入でもBDOが623億ペソで断トツであった。

 帰属純利益額では、BDOが165億ペソで断トツ、BPIが121億ペソ、メトロバンクが105億ペソと続く。増益率首位はフィリピン ナショナル バンク(PNB)の71.4%であるが、不動産等の売却益26億ペソが計上されたことによる。第2位はリサール商業銀行(RCB)の69.9%。純金利収入は伸び悩んだが、手数料など非金利収入が210%増(3.1倍)の57億ペソへと急増したことで大幅増益となった。年率換算の株主資本利益率(ROE)首位はBPIの15.36%、2位がチャイナバンク(CHIB)の14.66%、3位がBDOの14.45%であった。
 
 資産規模では、BDOが総資産(4兆0,868億ペソ)、純資産(4,737億ペソ)、受け入れ預金残高(3兆2,220億ペソ)、融資残高(2兆6,428億ペソ)いずれもトップとなっている。総資産2位はメトロバンクの2兆8,792億ペソ、3位はBPIの2兆6,742億ペソとなっている。総資産で4兆ペソを突破しているのはBDOのみ、その他は3兆ペソ未満である。
 
 バーゼル3基準の対リスク資産自己資本比率(CAR)では、メトロバンクが17.61%で首位、セキュリティバンク(SECB)17.05%、BPIが16.58%と続く。不良債権(NPL)比率では、メトロバンクが1.79%と最も良好、BPIも1.82%、BDOも1.89%と低水準。PNBが6.8%で最も高くなっている。PNBのNPL比率はグロスベースで6.8%、ネットベースで2.7%と記載されている。

 表1.民間上位銀行の2023年1Qの資産等の状況(単位:億ペソ、自己資本比率は対リスク資産{CAR})
行名 総資産 純資産 自己資本比率 預金残高 融資残高
BDOユニバンク 40,868 4,737 14.81% 32,220 26,428
メトロバンク 28,792 3,200 17.61% 22,633 13,826
BPI 26,742 3,316 16.58% 21,487 16,611
チャイナバンク 13,519 1,391 16.26% 10,864 7,092
RCBC 11,539 1,164 14.1% 8,594 5,731
PNB 11,093 1,732 16.41% 8,335 5,865
ユニオンバンク 11,012 1,692 15.5% 6,929 4,900
セキュリティバンク 7,938 1,287 17.05% 5,248 4,886
(出所:各銀行の事業報告書などより)

 表2.民間上位銀行の2023年1Qの収益動向(単位:億ペソ、純利益は帰属ベース)
銀行名  純収入  伸び率 純金利収入 伸び率 純利益 伸び率 純金利率 ROE
BDOユニバンク 623 23.2% 434 28.0% 165 40.6% 4.58% 14.45%
メトロバンク 330 19.5% 249 28.8% 105 31.3% 3.86% 13.13%
BPI 317 25.1% 242 27.2% 121 52.0% 3.94% 15.36%
チャイナバンク 132 5.4% 127 17.7% 50 2.6% 4.21% 14.66%
RCBC 130 31.2% 73 -9.7% 36 69.9% 3.2% 13.3%
PNB 154 49.5% 105 22.6% 48 71.4% 4.2% 11.3%
ユニオンバンク 161 57.4% 115 42.5% 33 29.7% 5.21% 8.4%
セキュリティバンク 98 5.6% 75 7.0% 24 -13.4% 4.06% 7.42%
(出所:各銀行の事業報告書などより)

 表3.民間上位銀行の2022年の資産等の状況(単位:億ペソ、自己資本比率は対リスク資産{CAR})
行名 総資産 純資産 自己資本比率 預金残高 融資残高
BDOユニバンク 40,747 4,593 14.5% 32,209 26,969
メトロバンク 28,431 3,185 17.7% 22,211 14,184
BPI 26,040 3,177 16.0% 20,960 17,030
チャイナバンク 13,297 1,345 15.9% 10,659 6,996
RCBC 11,541 1,164 15.3% 8,572 5,589
PNB 11,452 1,664 15.4% 8,712 5,931
ユニオンバンク 10,927 1,473 13.0% 7,113 4,797
セキュリティバンク 8,423 1,258 16.6% 6,058 5,026
(出所:各銀行の事業報告書などより)

 表4.民間上位銀行の2022年の収益動向(単位:億ペソ、純利益は帰属ベース)
銀行名  純収入  伸び率 純金利収入 伸び率 純利益 伸び率 純金利率 ROE
BDOユニバンク 2,208 14.5% 1,492 13.6% 571 33.3% 4.1% 12.9%
メトロバンク 1,123 11.3% 855 14.0% 328 47.9% 3.6% 10.3%
BPI 1,185 21.7% 851 22.3% 396 65.9% 3.6% 13.1%
チャイナバンク 557 14.3% 451 16.6% 191 26.6% 4.2% 15.1%
RCBC 445 22.1% 312 8.3% 121 70.6% 3.7% 11.2%
PNB 521 19.1% 373 7.1% 115 -63.5% 3.6% 7.0%
ユニオンバンク 522 15.7% 389 30.5% 125 0.03% 4.9% 9.7%
セキュリティバンク 396 7.7% 292 6.5% 106 52.6% 4.2% 8.4%
(出所:各銀行の事業報告書などより)