セブン銀行の比ATM設置進展、24年度の黒字化目標

3月末60%増の2,397台、利用件数も急増、6千台を視野に

2023/06/09

    セブン銀行(本社:東京都千代田区)のフィリピン子会社Pito AxM Platform社(PAPI、本社:マカティ市)による、フィリピン最大手のコンビニエンスストアチェーンであるセブン-イレブン フィリピン(比セブン-イレブン、2023年3末3,453店)の店舗への現金自動預け払い機(ATM)設置が進展している。

 比セブン‐イレブンチェーンを保有・運営するフィリピン セブン(証券コード:SEVN、本社:マニラ首都圏マンダルヨン市)やセブン銀行の発表によると、上記ATM設置が開始された2021年2月末の設置は11台(11店)であったが、表1のように、2021年3月末132台、2021年12月末1,249台に達した。2022年は一年間で1,075店に設置、2022年末の設置台数は2,324台に達し、全店舗数3,393店の68%をカバーするに至った。2021年はマニラ首都圏含むルソン地域の店舗での設置であったが、2022年は地方店舗でも設置、2022年末のセブでの設置は148台、ダバオでの設置は82台となった。

 2023年第1四半期も設置が進展、3月末時点の設置台数は前年同月末比60%増の2,397台、すなわち、全店舗3,453店(地域別内訳は表2参照)の69%に設置されている。2023年末には全店設置を目指すとのことである。したがって、2023年末の設置台数は、3月末の店舗数3,453以上となる見込み。セブン銀行は、3,000台設置後2,000台~3,000台ぐらいを上乗せする方針であり、6,000台設置を視野に入れている。

 これらのATMの1台当たり1日平均利用件数は2021年第1四半期の30.6件から、2021年第4四半期には99.4件、2022年第4四半期には156.7件と順調に伸びている。ただ、フィリピンに導入したATMはキャッシュリサイクル機(紙幣還流式ATM)でコストがやや高いこともあって、足元はまだ赤字である。2024年度頃の黒字化を見込んでいる。

 フィリピンでは、経済成長に伴い金融取引が増加し、国策による銀行口座の保有率も上昇するなか、ATM利用ニーズも高まりつつある。セブン銀行は2019年4月にフィリピンでのATM運営事業を推進するため子会社PAPI(資本金8,500万ペソ)を設立した。PAPIは、2020年2月、フィリピン セブンとの間で、比セブン‐イレブン店舗でのATM設置・運営・保守事業等の展開を目的とした業務提携契約を締結した。上記のようなフィリピン国内では初の紙幣還流型ATMを設置することで、利便性の高いサービス提供を目指している。


 PAPIはこの契約に沿って、比セブン-イレブン店舗へのATM設置を順次進めつつある。ATM運営事業開始に伴い、フィリピン最大手銀行BDOユニバンク(証券コード:BDO、本社:マカティ市)とATM提携を開始、その後もランドバンクなど提携銀行を拡大しつつある。

 表1.セブン銀行のフィリピンATM(セブン-イレブン店舗設置)台数等の推移(台数は四半期末ベース、利用件数は平均値)
   2021年 2022年   2023年 
  1Q 2Q 3Q  4Q 1Q 2Q 3Q 4Q  1Q 12月末予 
設置台数  132  367 681  1,249 1,497  1,814 1,966  2,324  2,397  3,453超
1台1日の利用件数  30.6  64.3 72.3  99.4 109.6  122.5 128.6  156.7  N.A.   N.A.

 (出所:セブン銀行資料などより作成)

 表2.地域別のセブン-イレブン フィリピン店舗数推移(単位:百万ペソ)
地域 2022年末  2023年1Q純増数 2023年1Q末
マニラ首都圏 1,063 1 1,064
ルソン地方(首都圏除く) 1,505 37 1,542
ビサヤ地方 489 10 499
ミンダナオ地方 336 12 348
合計 3,393 60 3,453

 (出所:フィリピン・セブン資料などより作成)