第1四半期の経常収支赤字、7.5%増の43億ドル

金融収支改善で総合収支黒字は7倍の35億ドルに

2023/06/18

   フィリピン中央銀行(BSP)は6月16日、国際通貨基金(IMF)の国際収支マニュアル第6版(BPM6)に準拠した、2023年第1四半期(1月~3月)の国際総合収支(BOP)統計の詳細速報を発表した。

<貿易赤字拡大で経常収支悪化>
 2023年第1四半期の経常収支の赤字額は43億米ドル(対GDP比率4.3%に相当)に達し、前年同期の赤字40億米ドル(対GDP比率4.2%に相当)から7.5%拡大した。これは、物品貿易赤字が8.2%増の170億米ドルに拡大し、第一次所得収支の黒字が28.9%減少したことによる。ただし、金融収支の純流入が拡大したことにより、国際総合収支(BOP)は35億米ドルの黒字となり、前年同期の4億9,500万米ドルの黒字の約7倍となった。

<総外貨準備高(GIR)>
 2023年3月末現在の外貨準備高(GIR)は、前年同月末比2.7%減の1,015億米ドルと小幅減(前年同月末1,073億米ドル)となったが、前期末(2022年12月末)の961億米ドルからは5.6%増加した。輸入・一次所得の7.5カ月分、元本ベース短期対外負債の5.9倍、残存ベース短期対外負債の4.0倍に相当する水準である。

<為替相場>
 為替は2023年第1四半期の加重平均が1米ドル=54.86ペソで、前期の加重平均1米ドル=57.39ペソから4.6%のペソ高、前年同期の1米ドル=51.53ペソから6.1%のペソ安になった。


 国際総合収支の詳細内訳(単位:百万米ドル、増減率表示はBSP方式による)
項目 第1四半期
22年 23年 増減率(%)
経常収支 -4,045 -4,348 -7.5
   対GNI比(%) -4.0 -3.9 -
   対GDP比(%) -4.2 -4.3 -
 貿易・サービス・第一次所得収支 -11,359 -11,666 -2.7
  貿易・サービス収支 -12,505 -12,480 0.2
     対GNI比(%) -12.5 -11.3 -
     対GDP比(%) -13.1 -12.2 -
    物品貿易収支 -15,707 -16,991 -8.2
      対GNI比(%) -15.7 -15.4 -
      対GDP比(%) -16.4 -16.6 -
     輸出 14,225 12,802 -10.0
     輸入 29,932 29,793 -0.5
   サービス収支 3,202 4,511 40.9
      輸出 8,693 10,929 25.7
      輸入 5,491 6,418 16.9
   第一次所得収支 1,146 815 -28.9
 第二次所得収支 7,315 7,318 0.0
資本移転等収支 -19 21 213.1
 
金融収支(マイナス勘定) -4,719 -5,664 -20.0
 直接投資 -1,505 -718 52.3
 証券投資 38 -694 -1910.2
 金融派生商品 1 20 3424.0
 その他投資 -3,253 -4,271 -31.3
 
誤差脱漏 -160 2,115 1419.1
 
国際総合収支 495 3,453 597.6
  対GNI比(%) 0.5 3.1 -
  対GNI比(%) 0.5 3.4 -
 
参考:OFW等の個人送金額合計 8,646 8,905 3.0
 うち銀行経由分 7,771 8,002 3.0
(出所:BSP資料より作成、注:全て速報値)
注:金融収支のプラス(マイナス)残高は純流出(純流入)を意味している。