3月末の対外債務残高、8%増の1,188億ドル

ドル建て76%、円建て8%、日本が最大の債権国

2023/06/19

    フィリピン中央銀行(BSP)によると、2023年3月末のフィリピンの対外債務残高は前年同月末比8.3%増の1,188億米ドルに拡大し、2022年12月末から6.8%増となった。

 2023年3月末の対外債務残高の対GNI(国民総所得)比は27.1%、対GDP(国内総生産)比は29.0%でそれぞれ前年12月末から拡大したが、これは対外負債残高の範囲が変更され、国内で発行された非居住者のペソ建て債券持分が含まれるようになったことによる。この統計調整は、非居住者の同債券保有分に関する詳細な情報の入手可能性から生じたものであり、国際通貨基金(IMF)の基準に準拠している。

 対外債務デットサービスレシオ(DSR、対外債務元利返済額を輸出額+サービス収入+海外からの純所得合計で割った比率)は12.9%で、前年同月末(4.0%)から大幅に上昇した。これは、2023年第1四半期に返済額が増えたことによる。

 対外債務残高1,188億米ドルのうち中長期債務比率は85.4%。中長期債務の満期までの平均期間は17.3年(公的部門20.2年、民間7.2年)。公的部門の対外債務は752億米ドル(シェア63.3%)で、2022年12月末の674億米ドルから5.5%増加した。そのうちの90.5%にあたる約681億米ドルは政府借入、残り71億米ドルは国営・政府系企業、政府金融機関、BSPの借入だった。一方、民間部門の対外債務は436億米ドル(シェア36.7%)で、2022年12月末時点の439億米ドルから小幅減となった。

 最大の債権国は日本(143億米ドル)、米国(36億米ドル)、英国(32億米ドル)と続く。公的資金源からの貸付(多国間・二国間債権国)が債務残高の37.9%を占め、次いで債券形式での借入が35.2%、外国銀行及び他の金融機関からの借入が20.9%を占めた。対外債務の外貨別構成比は、米ドル建て76.0% 、円建て8.3%、フィリピンペソ・SDR・ユーロを含むその他14の外貨15.7%であった。

 対外債務指標比較  (単位:億米ドル、%)
年・月 年末値 第1四半期
18年 19年 20年 21年 22年 22年 23年
対外債務残高(億米ドル) 790 836 985 1,064 1,113 1,098 1,188
対GNI比(%) 20.6 20.2 25.3 26.1 26.0 26.4 27.1
対GDP比(%) 22.8 22.2 27.2 27.0 27.5 27.5 29.0
デットサービスレシオ(%) 6.6 6.7 6.7 7.5 6.3 4.0 12.9
GIR対元本ベース短期債務比率(%) 492.9 510.5 775.0 721.0 578.5 766.6 585.2
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)