東京海上の比等での植林、4千億円の経済価値創出との試算

マングローブ植林カーボン、ニュートラルに大きく貢献:TCFDレポーㇳ

2023/07/04

 東京海上ホールディングス(東京海上)は、6月30日、「国際社会における気候変動対策の重要性の高まりを踏まえ、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿って、気候変動に関する取り組みを包括的にまとめた「TCFDレポート2023」を発行した」と発表した。

 東京海上はTCFDの創設メンバーとして、TCFDの提言策定・公表に貢献するとともに、2017年より統合レポートおよびサステナビリティレポートの中で、同提言に沿った情報を開示してきた。近年、気候変動等の影響により世界各地で洪水や豪雨等による自然災害の頻度が増し、また、それらによる被害が激甚化している。そのような中で、気候変動への対策は、ステークホルダーと進めていくものと認識しており、東京海上の考え方や取り組みを明確に伝える必要があると考えている。これらを踏まえて、気候変動に関する取り組みに特化したTCFD レポートを発行し、より充実した情報開示を行うこととした。

 その中に、2013年度から連続して「カーボン・ニュートラル」達成という記載がある。東京海上グループでは、グループ全体(国内・海外)の環境負荷削減とカーボン・ニュートラル実現に向け、これまで(1)省エネ・エネルギー効率化、(2)マングローブ植林によるCO2吸収・固定、(3)グリーン電力等自然エネルギー利用、(4)カーボン・クレジット(排出権)償却などを推進してきた。

 その結果、2021年度グループ全体事業活動により生じるCO2排出量を、マングローブ植林および自然エネルギー(グリーン電力証書)利用によるCO2固定・削減効果で相殺し、2013年度から9年連続で「カーボン・ニュートラル」を実現した。なお、子会社である東京海上日動火災保険(東京海上日動)は、2009年度以降毎年、13年連続で国内事業活動において『カーボン・ニュートラル』を実現している。
 
 東京海上グループの2021年度のCO2排出量8万3,484トンに対し、CO2吸収・固定・削減量は13万0,003トン(マングローブによる吸収・固定:13万トン、藻場づくり活動などを対象としたJ ブルークレジット3トン)であった。なお、フィリピン等でのマングローブ植林プロジェクトを通じて20年間(1999年4月から2019年3月末まで)の間に生み出された生態系サービスの価値は累計約1,185億円に達しており、2038年度末には累計3,912億円となるとの試算結果を得ている。

 マングローブ植林は、脅威にさらされている生態系を活性化するだけでなく、CO2排出の吸収と固定を通じてCO2排出量をオフセットする。東京海上グループは、1999年にマングローブの植林を開始し、2023年3月末時点で、フィリピンなどアジア太平洋地域9カ国の1万2,261ヘクタール(東京ドーム約2,600個分)にマングローブを植林した。

 そして、2022年には、アマモ場の保全活動を開始した。アマモは波が穏やかで太陽の光が届く浅い砂地に生息する海草の一種で大気中のCO2の吸収・固定効果が高く、水質浄化の特性を有している。マングローブ植林とともに地球を守る取り組みとして推進していく。

 東京海上グループは、これからも環境負荷削減や「カーボン・ニュートラル」の取り組みを推進し、SDGs(目標13「気候変動に具体的な対策を」等)の達成に貢献して行く方針である。