航空大手2社、23年上半期の収益大幅改善

フィリピン航空3倍増益、セブ航空は黒字転換

2023/08/14

 航空大手2社の2023年第2四半期(4月~6月)および上半期(1月~6月)の事業報告書発表が出揃った。新型コロナ感染減少に伴う移動・外出制限の大幅緩和、経済再開本格化による航空旅行需要回復などにより、2社ともに2023年上半期の業績は大幅に向上した。

 フィリピン航空の持株会社であるPALホールディングス(証券コード:PAL)は、8月11日、事業報告書を開示した。それによると、PALの当上半期の収入は前年同期比(以下同様)52%増の874億ペソ、旅客収入は73%増の782億ペソ、営業利益は150%増の174億ペソ、純利益は211%増(約3.1倍)の138億ペソと大幅増収増益決算となった。上半期ベースでは2年連続の黒字で、2016年以来6年ぶりに黒字転換した前年同期から大幅続伸という結果となった(詳細は別掲)。

 一方、格安航空(LCC)最大手であるセブ航空(証券コード:CEB、ブランド名:セブ・パシフィック航空)は、8月10日に事業報告書を提出済みである。それによると、収入は111%増(約2.1倍)の436億ペソ。そのうち、旅客収入は158%増(約2.6倍)の301億ペソと急増した。これらの結果、営業損益は37億6,000万ペソの黒字となり、前年同期の81億6,000万ペソの赤字から改善。純損益は37億4,900万ペソの黒字となり、前年同期の95億ペソの赤字から改善した(詳細は8月11日付けレポートにて)。

 LLCで国内線中心のセブ航空の旅客数は1,027万人でPALの700万人を大幅に上回った。しかし、収入に関しては、国際線運行数が多く客単価の高いPALがセブ航空の約2倍の874億ペソに達している。2023年6月末の運航機罪数はPAL81機、セブ航空80機と拮抗している。

 航空大手2社の2023年上半期業績比較
項目 セブ航空 PAL
総収入(百万ペソ) 43,551 87,446
増収率 110.6% 52.4%
総営業費用(百万ペソ) 39,790 69,847
費用増加率 38.0%    38.8%
純損益(百万ペソ) 3,749 13,796
純損益変化率 黒字転換 黒字3.1倍
前年同期純損益   -9,501 4,440 
     
旅客収入(百万ペソ)  30,126 78,240 
旅客収入増加率 158.2%  73.3%
旅客数(概数) 1,027万人  700万人
旅客数伸び率 63.3%増  88.8%
運航機数6月末) 80機  81機 
創業時期 1996年3月  1941年3月 
(出所:両社の事業報告書などより作成) 

 セブ航空の乗客数・客席数・稼働率の推移(CEBGOも含む)
項目 2Q 伸び率 1月-6月 伸び率
2022年 2023年 2022年 2023年
乗客数(千人) 4,239 5,459 29% 6,289 10,267 63%
客席数(千席) 5,497 6,319 15% 8,429 12,104 44%
客席稼働率 77.1% 86.4% +9.3pts 74.6% 84.8% +10.2pts
稼働キロ数(RPK、千km) 2,925 5,679 94% 4,271 10,446 145%
座席キロ数(ASK、千km) 4,232 7,140 69% 6,468 13,177 104%
便数 29,803 36,328 22% 46,324 68,322 47%
機体数(月/期末現在) 77 80 4% 77 80 4%
(出所:セブ・パシフィック航空資料より作成、CEBGO:旧タイガーエア・フィリピンズ)