比トヨタ自動車、上半期の帰属純利益2.5倍の80億ペソ

売上高25%増の1,064億ペソ、粗利益率14.4%(前年10.1%)

2023/08/15

 トヨタ自動車のフィリピンでの製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP、所在地:ラグナ州サンタロサ市トヨタ特別経済区)が、2023年8月3日、設立35周年を迎えた。

 TMPは1988年8月にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。現在の出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTキャピタル ホールディングス(証券コード:GTCAP)51%となっている。また、販社「レクサス マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業した「レクサス マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。

 TMPは、2022年まで21年連続でフィリピン自動車市場の三冠王(総販売台数、商用車販売台数、乗用車販売台数いずれもトップ)を維持している。個別モデル販売ランキングにおいても常に上位を独占している。2022年は、上位6モデル(ヴィオス、ハイラックス、ウイゴー、イノーバ―、フォーチュナー、ラッシュ)を独占している。8位にハイエースがランクされており、上位10モデルのうち7モデルを占めている。2022年の市場シェアは50.0%で、過去最高を更新するとともに、ASEAN市場で最高となっている。

 8月14日発表のGTCAPの2023年上半期(1月~6月)事業報告書によると、TMPの今上半期の卸売ベースの販売台数は前年同期比(以下同様)24%増の10万0,226台、小売ベースの販売台数は16.8%増の9万3,575台と堅調だった。業界全体の小売販売台数は26.4%増の19万7,018台であったことから、TMPの市場シェアは47.5%で、前年同期の51.4%からは低下した。しかし、依然断トツであり、首位の座は全く揺るがない状況である。

 これらの結果、TMPの今上半期の売上高は25.2%増の1,064億ペソに達した。移動・外出制限の大幅緩和や消費回復、供給不足の緩和、積極的な新型モデル投入効果などで二桁増収、半期ベースで1,000億ペソの大台を突破した。二桁増収効果、円安効果、高採算車の販売比率上昇などで、粗利益率が14.4%へ大幅上昇(前年同期10.1%)した。営業費用抑制効果もあって、営業利益は140.5%増の103億ペソ、帰属純利益は147.2%増(約2.5倍)の80億ペソへと大幅増加した。

 TMPは、全国に73の販売店網を有している。そのうち、直営店は6店である。これらは、トヨタ・マカティ+1支店(トヨタ・ビクータン)、トヨタ・サンフェルナンド(パンパンガ州)+2支店(トヨタ・ブラカン、トヨタ・タルラック)、レクサス・マニラ(ボニファシオ・グローバルシティ)である。

 表1.トヨタモーター フィリピン上半期(1月~6月)の業績推移(単位:百万ペソ)
2019年   2020年 2021年 2022年 2023年  伸び率
売上高 76,050  37,500 63,706 84,979 106,429 25.2%
粗利益  9,231  4,965 7,585 8,595 15,360 78.7%
営業利益  5,790  1,289 3,965 4,291 10,319 140.5%
帰属純利益  4,345  994 3,368 3,242 8,016 147.2%
(出所:GTキャピタル事業報告書などより作成)

 表2.トヨタモーター フィリピン年間の業績等の推移(単位:百万ペソ)
2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
売上高 185,337 158,941 168,616 99,847 131,275 183,810
粗利益 23,059 16,620 21,143 13,022 14,545 16,805
営業利益 16,798 10,255 12,786 4,545 6,641 7,418
帰属純利益 13,186 7,882 9,082 3,306 6,024 5,657
総資産 42,158 36,428 38,751 45,059 44,937 45,343
株主資本 19,148 15,238 15,608 9,500 12,853 12,702
(出所:GTキャピタル資料より作成)