比トヨタ35周年式典開催、44億ペソの追加投表明

累計投資737億ペソ超、販売224万台、生産103万台

2023/08/23

 トヨタ自動車のフィリピンでの製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP、所在地:ラグナ州サンタロサ市トヨタ特別経済区)が、設立35周年を記念し、8月22日、マニラにて式典を開催した。

 式典には、来賓としてルイーズ・アラネタ・マルコス・フィリピン大統領令夫人、越川和彦駐フィリピン特命全権大使をはじめ、政府関係者、サプライヤー、ディーラー、現地関係者など約600名が出席、またトヨタからは豊田章男会長、TMPからアルフレッド・ティ会長などが出席した。豊田会長はフィリピンへの感謝と更なる貢献に向けた決意を表明した。
 
 なお同日、フェルディナンド・マルコス大統領も、トヨタ特別経済区内にあるTMPの車両生産工場及びトヨタ アイシン フィリピン(TAP)のマニュアルトランスミッション工場を視察、豊田章男会長やTMPのアルフレッド・V・ティ会長等、現地関係者が案内した。

 この大統領訪問時や35周年記念式典において、「1988年、20名ほどのささやかなスタートアップから始まったTMPは、現在では、グループ全体で累計737億ペソ(2000年以降)の投資を行い、4,480億ペソの関税・税金を支払い、そして187億6,000万米ドル相当の自動車部品とコンポーネントを輸出する、トヨタの一大拠点に成長した。2023年央時点で、累計で103万台を現地生産し、224万台を販売した」との謝意が表明された。

 そして、トヨタの新興国向けの世界戦略車IMV(イノベーティブインターナショナル・マルチパーパス・ビークル)事業として、次世代タマラオ(ビジネス多目的車)の生産開始予定も表明された。イノーバとヴィオスに続く3種目の現地生産車となる。この現地生産のために44億ペソ(約110億ペソ)の追加投資が行われるとのことである。
 
 なお、TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。現時点での出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産6%、マキシマス・マネジメントホールディングス9%、GTキャピタル(GTCAP)51%となっている。サブコンパクトセダン「ヴィオス」や多目的車「イノーバ」を現地生産している。
 
 TMPは、2022年まで21年連続でフィリピン自動車市場の三冠王(総販売台数、商用車販売台数、乗用車販売台数いずれもトップ)を維持している。個別モデル販売ランキングにおいても常に上位を独占している。2022年は、上位6モデル(ヴィオス、ハイラックス、ウイゴー、イノーバ―、フォーチュナー、ラッシュ)を独占している。8位にハイエースがランクされており、上位10モデルのうち7モデルを占めている。2022年の市場シェアは50.0%で前年の46.3%から一段と上昇、過去最高を更新するとともに、ASEAN市場で最高となっている。2022年の売上高は約1,838億ペソ、帰属純利益は約57億ペソに達している。更に2023年上半期の売上高は25%増の1,064億ペソ、帰属純利益は約2.5倍の80億ペソへと大幅増加している。

 表1.トヨタモーター フィリピン上半期(1月~6月)の業績推移(単位:百万ペソ)
2019年   2020年 2021年 2022年 2023年  伸び率
売上高 76,050  37,500 63,706 84,979 106,429 25.2%
粗利益  9,231  4,965 7,585 8,595 15,360 78.7%
営業利益  5,790  1,289 3,965 4,291 10,319 140.5%
帰属純利益  4,345  994 3,368 3,242 8,016 147.2%
(出所:GTキャピタル事業報告書などより作成)

 表2.トヨタモーター フィリピン年間の業績等の推移(単位:百万ペソ)

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
売上高 185,337 158,941 168,616 99,847 131,275 183,810
粗利益 23,059 16,620 21,143 13,022 14,545 16,805
営業利益 16,798 10,255 12,786 4,545 6,641 7,418
帰属純利益 13,186 7,882 9,082 3,306 6,024 5,657
総資産 42,158 36,428 38,751 45,059 44,937 45,343
株主資本 19,148 15,238 15,608 9,500 12,853 12,702
(出所:GTキャピタル資料より作成)