大手銀行の上半期決算、BDOが収益・資産ともに断トツ

総資産4兆ペソ超、純利益352億ペソ、ROE首位チャイナバンク

2023/08/29

 フィリピン証券取引所(PSE)上場の民間銀行の2023年上半期の(1月~6月)事業報告書発表が出揃った。主要8行の動向は表1と表2のとおり(個別の詳細は別掲)であるが、新型コロナ対策としての外出・移動規制の大幅緩和、本格的経済再開を背景に好業績であった。

 主力の融資などによる純金利収入が総じて大幅増加した。純金利収入の増加率が大きかったのは、ユニオンバンク オブ ザ フィリピン(ユニオンバンク、UBP)の41.1%増、BDOユニバンク(BDO)の28.9%増、バンク オブ ザ フィリピン アイランズ(BPI)の27.4%増、メトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、MBT)の27.0%増など。純金利収入の額では、BDOの895億ペソが断トツ、メトロバンクの506億ペソ、BPIの501億ペソと続く。営業純収入でもBDOが1,277億ペソで断トツであった。

 帰属純利益額では、BDOが352億ペソで首位、BPIが252億ペソ、メトロバンクが209億ペソと続く。増益率首位もBDOの47.0%、メトロバンク34.1%、BPI23.0%と続く。年率換算の株主資本利益率(ROE)首位はチャイナ バンキング コーポレーション(チャイナバンク、CHIB)の15.86%、2位がBPIの15.53%、3位がBDOの15.10%であった。
 
 資産規模では、BDOが総資産(4兆1,583億ペソ)、純資産(4,875億ペソ)、受け入れ預金残高(3兆2,958億ペソ)、融資残高(2兆7,105億ペソ)でいずれもトップとなっている。総資産2位はメトロバンクの2兆8,638億ペソ、3位はBPIの2兆6,847億ペソとなっている。総資産で4兆ペソを突破しているのはBDOのみ、その他は3兆ペソ未満である。
 
 バーゼル3基準の対リスク資産自己資本比率(CAR)では、メトロバンクが17.90%で首位、セキュリティバンク(SECB)17.06%、フィリピンナショナルバンク(PNB)16.80%、BPI16.46%と続く。純金利率ではユニオンバンクが5.20%で首位、BDOが4.65%、PNBとセキュリティバンクが4.24%、チャイナバンクが4.20%と続く。

 民間上位銀行の2023年上半期の資産等の状況(単位:億ペソ、自己資本比率は対リスク資産{CAR})
行名 総資産 純資産 自己資本比率 預金残高 融資残高
BDOユニバンク 41,583 4,875 14.97% 32,958 27,105
メトロバンク 28,638 3,298 17.90% 22,532 13,979
BPI 26,847 3,361 16.46% 21,441 17,205
チャイナバンク 13,849 1,385 16.08% 11,214 7,259
RCBC 11,743 1,184 14.20% 8,997 5,877
PNB 11,629 1,783 16.80% 8,929 5,929
ユニオンバンク 11,094 1,724 16.20% 6,933 5,222
セキュリティバンク 7,958 1,305 17.06% 5,247 4,846
(出所:各銀行の事業報告書などより)

 民間上位銀行の2023年上半期の収益動向(単位:億ペソ、純利益は帰属ベース)

銀行名  純収入  伸び率 純金利収入 伸び率 純利益 伸び率 純金利率 ROE
BDOユニバンク 1,277 23.1% 895 28.9% 352 47.0% 4.65% 15.10%
メトロバンク 655 19.1% 506 27.0% 209 34.1% 3.93% 12.89%
BPI 656 13.8% 501 27.4% 252 23.0% 4.03% 15.53%
PNB 293 12.2% 216 24.6% 98 -11.6% 4.24% 10.30%
チャイナバンク 272 7.9% 255 16.2% 108 7.4% 4.20% 15.86%
RCBC 235 10.5% 154 -4.0% 62 1.4% 3.30% 11.10%
ユニオンバンク 344 59.8% 240 41.1% 63 6.1% 5.20% 7.90%
セキュリティバンク 206 7.3% 157 9.0% 49 -21.3% 4.24% 7.67%
(出所:各銀行の事業報告書などより)