8月の株価6.3%下落、GDP急鈍化や中国不動産問題等響く

10カ月ぶりの安値に、8カ月間で6%下落、コロナ前水準に戻らず

2023/09/01

 フィリピンの代表的株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)の2023年8月31日の終値は6,175.25ポイントとなり、前月末から6.31%下落した。8月の終値ベースでの最高値は1日の6,593.80ポイント。最安値は25日の6,160.61ポイントで、2022年11月3日の6,156.11ポイント以来、約10カ月ぶりの安値であった。

 8月は米国利上げ継続懸念、フィリピン第2四半期GDP成長率4.3%への急減速、中国の大手不動産企業である恒大集団の米国での連邦破産法15条申請に伴う中国の景気不安再燃などを背景に弱気相場が続いた。また、国際的な機関投資家が運用のベンチマークとして採用しているモルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)指数の8月の定期再構築(リバランス)の動きが下落に拍車をかけた。

 PSEiは、2023年年初8カ月間では5.96%下落。新規の買い材料に乏しく上値が重たい展開で、新型コロナパンデミック発生前の水準に戻れないままの動きとなっている。大分類セクター別指数は、金融株(+12.46%)のみプラス。不動産株(-14.37%)、持株会社株(-8.21%)、サービス業株(-8.18%)、工業株(-7.07%)、鉱業・石油株(資源株、-6.71%)は下落した。金融株は、銀行の不良債権比率の急ピッチの改善や業績回復が好感されている。一方、金利上昇という環境下で、金利敏感の代表格である不動産株は軟調な展開が続いている。

 8カ月間の外国人投資家の買い越し日は76営業日だった(1月は16日、2月は5日、3月は9日、4月は8日、5月は13日、6月は9日、7月は12日、8月は4日)。

 PSE指数(PSEi)の推移(年末値/月末価)
時期 年末・月末値 上昇率
2012年 5,812.73ポイント 32.95%
2013年 5,889.83ポイント 1.33%
2014年 7,230.57ポイント 22.76%
2015年 6,952.08ポイント -3.85%
2016年 6,840.64ポイント -1.60%
2017年 8,558.42ポイント 25.11%
2018年 7,466.02ポイント -12.76%
2019年 7,815.26ポイント 4.68%
2020年 7,139.71ポイント -8.64%
2021年 7,122.63ポイント -0.24%
2022年 6,566.39ポイント -7.81%
2023年 1月末 6,793.25ポイント 3.45%
2月末 6,556.20ポイント -3.49%
3月末 6,499.68ポイント -0.86%
4月末 6,625.08ポイント 1.93%
5月末 6,477.36ポイント -2.23%
6月末 6,468.07ポイント -0.14%
7月末 6,591.47ポイント 1.91%
8月末 6,175.25ポイント -6.31%
8カ月間 - -5.96%
(出所:PSE資料より作成)

 
フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率
項目 19年 20年 21年 22年 23年8カ月間 23年8月末指数
フィリピン証券取引所指数 4.68% -8.64% -0.24% -7.81% -5.96% 6,175.25
全株指数 2.92% -8.11% -10.64% -9.33% -3.68% 3,334.78
  金融株指数 4.71% -22.32% 10.95% 2.42% 12.46% 1,850.03
  工業株指数 -12.02% -2.51% 10.76% -10.12% -7.07% 8,689.90
  持株会社株指数 3.41% -3.13% -7.44% -5.49% -8.21% 5,904.97
  不動産株指数 14.51% -11.80% -12.14% -9.04% -14.37% 2,507.86
  サービス業株指数 6.13% -1.11% 31.19% -17.73% -8.18% 1,500.54
  鉱業・石油株指数 -1.32% 17.75% 0.77% 12.57% -6.71% 10,083.72
(出所:PSE資料より作成)