9月5日に8月のインフレ率発表、直前予想中間値は4.9%に

前月4.7%から7カ月ぶり加速懸念:BW紙の18名対象調査

2023/09/04

 フィリピン統計庁(PSA)は、2023年9月5日午前9時、2023年8月の消費者物価(インフレ)統計を発表する予定である。

 現地有力経済紙であるビジネスワールド紙(BW紙)が先週実施したエコノミスト18名による2023年8月の総合消費者物価上昇率(インフレ率、前年同月比、2018年基準)に関する直前予想のコンセンサス(中間値)は4.9%である。すなわち、16カ月ぶりの低水準であった7月の4.7%からは、7カ月ぶりの再加速との予想が支配的となっている。ただし、1年前の6.8%からは鈍化で一致している。

 最高予想値は6.0%、最低予想値は3.9%であった。18名のうち、6.0%予想が1名、5.5%予想が1名、5.0%が6名、4.9%が2名、4.8%が1名、4.6%が5名、4.5%が1名、3.9%が1名となっている。そして、フィリピン中央銀行(BSP)の直前推定レンジ4.8%~5.6%のほぼ下限と一致する。

 BSPは、2023年8月については、石油製品の値上がり、悪天候によるコメや農産物の値上がり、鉄道運賃や通行料金の値上げ、ペソ安などがインフレ上昇圧力となったと分析。電力料金の値下げなどがインフレ緩和要因となったが、上昇要因が多く、8月の総合インフレ率が前月比で上昇したと推定している。

 総合消費者物価上昇率 (2018年基準、前年同月比%)
項目 2022年 2023年 
7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
総合 6.4 6.3 6.9 7.7 8.0 8.1 8.7 8.6 7.6 6.6 6.1 5.4 4.7
食品・非酒類 6.9 6.3 7.4 9.4 10.0 10.2 10.7 10.8 9.3 7.9 7.4 6.7 6.3
酒類・タバコ 8.5 9.3 9.8 10.4 10.6 10.7 10.9 11.0 12.2 12.7 12.3 11.6 10.9
衣料・履物類 2.5 2.8 2.9 3.1 3.6 3.9 4.4 4.8 5.0 5.1 5.1 5.1 4.8
住宅・水道光熱費 5.7 6.8 7.3 7.4 6.9 7.0 8.6 8.6 7.6 6.5 6.5 5.6 4.5
家具・住宅管理 3.1 3.4 3.5 3.8 4.5 4.8 5.2 6.2 6.2 6.1 6.2 6.0 5.8
健康・医療 2.4 2.5 2.4 2.6 2.8 3.1 3.3 4.0 3.9 4.1 4.1 3.9 3.9
交通・輸送 18.1 14.6 14.5 12.5 12.3 11.7 11.1 9.0 5.3 2.6 -0.5 -3.1 -4.7
情報・通信 0.5 0.4 0.5 0.5 0.7 0.7 0.7 0.8 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7
娯楽・文化 2.2 2.4 2.7 3.0 3.3 3.9 4.2 4.4 4.6 4.7 4.9 4.8 4.7
教育 0.6 3.8 3.5 3.4 3.6 3.6 3.6 3.6 3.6 3.6 3.6 3.6 3.7
外食・宿泊サービス 3.4 4.2 4.6 5.7 6.5 7.0 7.6 8.1 8.3 8.6 8.3 8.2 7.0
金融サービス 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
パーソナルケア類 2.8 3.3 3.4 3.7 4.2 4.5 5.0 5.3 5.6 5.7 5.7 5.8 5.6
首都圏 5.1 5.7 6.5 7.7 7.5 7.6 8.6 8.7 7.8 7.1 6.5 5.6 5.6
地方 6.8 6.5 7.0 7.6 8.0 8.2 8.7 8.5 7.5 6.5 6.0 5.3 4.4
(出所:PSA資料より作成)