中央銀行、1ドル57ペソ台への下落阻止方針
市場介入実施、防衛水準の明示は危険との指摘も
2023/09/27
9月26日のペソ対米ドルレート終値は、1米ドル=56.955ペソへと続落した(詳細は別掲)。終値ベースでは、2022年11月22日の57.375ペソ以来、約10カ月ぶりの安値水準である。
ペソ対米ドルレートは下表のように、8月に3.03%も下落、9月26日までのほぼ9カ月間で2.11%下落と軟調な動きを続けている。ただし、57ペソ台へは下落せず、57ペソ台に急接近すると反発という動きが見られている。この様な状況下、フィリピン中央銀行(BSP)のレモロナ総裁は、「中央銀行が1ドル=57円の突破を防いでいるか」という質問に対し、更なる下落を防ぐべく1ドル=57円台でペソ防衛のための介入を行っていることを示唆したとのことである。
なおBSPはこれまで、市場介入については、「あくまでも急すぎる変動を抑制する意図であり、特定のレートや水準を想定したり、その水準へ誘導しようとするものではない。為替レートは基本的には市場によって決定されるべきである。介入はあくまでも急すぎる動きを是正するためのスムージング・オペにとどまる」と強調してきた。
しかし今回の局面では、ペソの更なる下落阻止という意思を表明、57ペソという明確な線引きを行ったことはリスキーという指摘もある。具体的な防衛水準を明示するとその水準に向けてのテスト売りを誘発することがあるからだ。
ペソ対米ドルレートの動き(年末値/月末値)
(出所:フィリピン銀行協会資料より作成)
ペソ対米ドルレートは下表のように、8月に3.03%も下落、9月26日までのほぼ9カ月間で2.11%下落と軟調な動きを続けている。ただし、57ペソ台へは下落せず、57ペソ台に急接近すると反発という動きが見られている。この様な状況下、フィリピン中央銀行(BSP)のレモロナ総裁は、「中央銀行が1ドル=57円の突破を防いでいるか」という質問に対し、更なる下落を防ぐべく1ドル=57円台でペソ防衛のための介入を行っていることを示唆したとのことである。
なおBSPはこれまで、市場介入については、「あくまでも急すぎる変動を抑制する意図であり、特定のレートや水準を想定したり、その水準へ誘導しようとするものではない。為替レートは基本的には市場によって決定されるべきである。介入はあくまでも急すぎる動きを是正するためのスムージング・オペにとどまる」と強調してきた。
しかし今回の局面では、ペソの更なる下落阻止という意思を表明、57ペソという明確な線引きを行ったことはリスキーという指摘もある。具体的な防衛水準を明示するとその水準に向けてのテスト売りを誘発することがあるからだ。
ペソ対米ドルレートの動き(年末値/月末値)
時期 | 年末・月末値 | 上昇率 |
2019年 | 50.635ペソ | 3.84% |
2020年 | 48.023ペソ | 5.44% |
2021年 | 50.999ペソ | -5.84% |
2022年 | 55.755ペソ | -8.53% |
2023年 1月末 | 54.640ペソ | 2.04% |
2月末 | 55.330ペソ | -1.25% |
3月末 | 54.360ペソ | 1.78% |
4月末 | 55.380ペソ | -1.84% |
5月末 | 56.150ペソ | -1.37% |
6月末 | 55.200ペソ | 1.72% |
7月末 | 54.880ペソ | 0.58% |
8月末 | 56.595ペソ | -3.03% |
9月26日 | 56.955ペソ | -0.63% |
8カ月間と26日 | - | -2.11% |