中央銀行、早期の緊急利上げを前向きに検討

11月16日の定期政策会合前に臨時実施の可能性

2023/09/28

 フィリピン中央銀行は(BSP)は、現在、年8回の金融委員会(MB)政策定例会合を開催している。2023年のMB定期政策会合は、2月16日、3月23日、5月18日、6月22日、8月17日、9月21日、11月16日、12月14日開催と予定されている。1月、4月、7月、10月は開催されない。次回(2023年7回目)のMB定期政策会合(定期会合)は11月16日ということになる。

 基本的には、政策金利など重要金融政策は定期会合において決定される。しかし、急を要する場合は、臨時会合において金融政策変更が決定されることもある。2022年には、7月14日に臨時会合が開催され、0.75%の緊急追加利上げが決定されている。

 現時点では、11月16日の次回定期会合において0.25%の追加利上げが決定されるとの観測が多くなっている。しかし、次回定期会合は前回9月21日から約2カ月間間隔が空いてしまう。最近の原油などの一次産品価格の再上昇、ドル高ペソ安などに速やかに対処する必要があるとの指摘もある。下表のように、BSPも9月21日に2023年フィリピンのインフレ率予想を5.8%へと上方修正している。

 このような状況下で、BSPのレモロナ総裁は9月26日、「11月16日の政策会合前に、オフサイクルでの利上げ(臨時利上げ)に吝かではない。むしろ前向きである」と表明した。民間エコノミストの一部も「原油、電力、賃金の上昇などインフレ見通しに対する上振れリスクが、オフサイクルでの利上げを促す可能性がある」と見ている。一方、「インフレ率は基調としては低下傾向にあり、遠からずインフレ目標(2%~4%)圏内に収斂するだろう。年末に向けては、海外からの送金が増加しペソ下落の歯止めになる。したがって、利上げを急ぐ必要はない」との見方もある。

 なお、米国連邦準備理事会(FRB)も、年8回のFOMCを開催している。2023年のFOMCは1月31日~2月1日、3月21日~22日、5月2日~3日、6月13日~14日、7月25日~26日、9月19日~20日、10月31日~11月1日、12月12日~13日と予定されている。2023年7回目のFOMCは、フィリピンの7回目の定期会合より半月早い開催となる。

 フィリピンの総合インフレ率推移(2012年基準と2018年基準との比較)
2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年  2022年  2023年予  2024年予  2025年予
2018年基準  N.A.   N.A.  5.2% 2.4%  2.4%  3.9%  5.8%  5.8%  3.5%  3.4%  
2012年基準 1.3% 2.9% 5.2% 2.5% 2.6% 4.5% N.A.    N.A.     N.A.     N.A.   
インフレ目標 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4%  2~4%  2~4%  2~4%  2~4% 
 (出所:PSA資料などより作成、2023年以降の予想はBSPの2023年9月21日時点の予想)