コアインフレ率が低下傾向、金利据え置き論の根拠に
今年1月に8%で23年ぶり高水準、9月は5.9%へ減速
2023/10/10
2023年9月の総合インフレ率(消費者物価指数{2018年=100}の前年同月比)は6.1%、前月(8月)の5.3%から0.8%ポイント上昇した。7月は4.7%で16カ月ぶりの低水準となったが、そこから2カ月連続で加速、4カ月ぶりの6%台への上昇となった。このインフレ再加速を背景に利上げ再開観測が強まっている。
しかし、特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率については、9月は5.9%と依然高水準ではあるが、8月の6.1%からは0.2%ポイント減速した。コアインフレ率は、今年3月、2000年12月の8.2%以来、22年3カ月ぶりの高水準となる8.0%へと上昇した。その後は、下表のように減速傾向にある。
このコアインフレ率が減速傾向にあることで、総合インフレ率が遠からずインフレ目標(2%~4%)圏に収斂するとの見方が支配的になっている。また、コアインフレ減速傾向が、金利据え置き論、利上げ再開慎重論の根拠の一つとなっている。国家経済開発庁(NEDA)のアルセニオ・バリサカン長官は、10月6日、「コアインフレ率は低下傾向にあることから追加利上げを急ぐ必要はない。そもそも、今回のインフレ率上昇は供給サイドファクターによるものであり、これ以上の金融引き締めではなく、供給拡大など非金融政策での対応が求められていると考えられる」と表明した。
もっとも、2023年9カ月間の平均コアインフレ率は7.2%で、前年同期の3.0%を大幅に上回っている。また、今年9カ月間の平均総合インフレ率6.6%を上回っている。
総合インフレ率とコアインフレ率の推移(2018年基準、平均値ベース)
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)
フィリピンの総合インフレ率推移(2012年基準と2018年基準との比較)
(出所:PSA資料などより作成、2023年以降の予想はBSPの2023年9月21日時点の予想)
しかし、特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率については、9月は5.9%と依然高水準ではあるが、8月の6.1%からは0.2%ポイント減速した。コアインフレ率は、今年3月、2000年12月の8.2%以来、22年3カ月ぶりの高水準となる8.0%へと上昇した。その後は、下表のように減速傾向にある。
このコアインフレ率が減速傾向にあることで、総合インフレ率が遠からずインフレ目標(2%~4%)圏に収斂するとの見方が支配的になっている。また、コアインフレ減速傾向が、金利据え置き論、利上げ再開慎重論の根拠の一つとなっている。国家経済開発庁(NEDA)のアルセニオ・バリサカン長官は、10月6日、「コアインフレ率は低下傾向にあることから追加利上げを急ぐ必要はない。そもそも、今回のインフレ率上昇は供給サイドファクターによるものであり、これ以上の金融引き締めではなく、供給拡大など非金融政策での対応が求められていると考えられる」と表明した。
もっとも、2023年9カ月間の平均コアインフレ率は7.2%で、前年同期の3.0%を大幅に上回っている。また、今年9カ月間の平均総合インフレ率6.6%を上回っている。
総合インフレ率とコアインフレ率の推移(2018年基準、平均値ベース)
年 | 18年 | 19年 | 20年 | 21年 | 22年 | 23年上期 | 23年7月 | 23年8月 | 23年9月 | 23年9カ月 |
総合インフレ | 5.2% | 2.4% | 2.4% | 3.9% | 5.8% | 7.2% | 4.7% | 5.3% | 6.1% | 6.6% |
コアインフレ | 4.1% | 3.4% | 3.4% | 3.0% | 3.9% | 7.7% | 6.7% | 6.1% | 5.9% | 7.2% |
フィリピンの総合インフレ率推移(2012年基準と2018年基準との比較)
年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年予 | 2024年予 | 2025年予 |
2018年基準 | N.A. | N.A. | 5.2% | 2.4% | 2.4% | 3.9% | 5.8% | 5.8% | 3.5% | 3.4% |
2012年基準 | 1.3% | 2.9% | 5.2% | 2.5% | 2.6% | 4.5% | N.A. | N.A. | N.A. | N.A. |
インフレ目標 | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% |
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