11月7日に10月のインフレ率発表、中銀5.1%~5.9%と予想

前月6.1%からは減速、民間エコノミスト予想中間値は5.7%に

2023/11/03

   フィリピン統計庁(PSA)は、11月7日、2023年10月の消費者物価(インフレ)統計を発表する予定である。

 それに先立ち、フィリピン中央銀行(BSP)は、10月31日、「2023年10月の総合消費者物価上昇率(総合インフレ率、前年同月比、2018年基準)は5.1%~5.9%の範囲内であったと推定している」と発表した。すなわち、10月のインフレ率は依然高水準ながら9月の6.1%からは減速したと見ている。
 
 BSPは、2023年10月は、LPG価格、電力料金、ジープニー運賃の値上げ、果物や魚類の値上がりなどがインフレ上昇圧力になったと分析している。一方、コメ、肉、野菜の値下がりなどがインフレ抑制要因となったと見ている。


 一方、現地有力経済紙であるビジネスワールド紙(BW紙)が先週実施したエコノミスト13名による2023年10月の総合消費者物価上昇率に関する直前予想のコンセンサス(中間値)は5.7%である。すなわち、10月の総合インフレ率は9月の6.1%、前年同月の7.7%から鈍化、8月の5.3%以来、2カ月ぶりの低水準となると見ている。

 総合インフレ率項目別動向(2018年基準、前年同月比%)
項目 2022年 2023年
9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
総合 6.9 7.7 8.0 8.1 8.7 8.6 7.6 6.6 6.1 5.4 4.7 5.3 6.1
食品・非酒類 7.4 9.4 10.0 10.2 10.7 10.8 9.3 7.9 7.4 6.7 6.3 8.1 9.7
酒類・タバコ 9.8 10.4 10.6 10.7 10.9 11.0 12.2 12.7 12.3 11.6 10.9 10.1 9.8
衣料・履物類 2.9 3.1 3.6 3.9 4.4 4.8 5.0 5.1 5.1 5.1 4.8 4.8 4.7
住宅・水道光熱費 7.3 7.4 6.9 7.0 8.6 8.6 7.6 6.5 6.5 5.6 4.5 2.5 2.4
家具・住宅管理 3.5 3.8 4.5 4.8 5.2 6.2 6.2 6.1 6.2 6.0 5.8 5.6 5.4
健康・医療 2.4 2.6 2.8 3.1 3.3 4.0 3.9 4.1 4.1 3.9 3.9 3.9 4.1
交通・輸送 14.5 12.5 12.3 11.7 11.1 9.0 5.3 2.6 -0.5 -3.1 -4.7 0.2 1.2
情報・通信 0.5 0.5 0.7 0.7 0.7 0.8 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 0.6
娯楽・文化 2.7 3.0 3.3 3.9 4.2 4.4 4.6 4.7 4.9 4.8 4.7 4.9 5.1
教育 3.5 3.4 3.6 3.6 3.6 3.6 3.6 3.6 3.6 3.6 3.7 2.9 3.6
外食・宿泊サービス 4.6 5.7 6.5 7.0 7.6 8.1 8.3 8.6 8.3 8.2 7.9 7.1 7.1
金融サービス 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
パーソナルケア類 3.4 3.7 4.2 4.5 5.0 5.3 5.6 5.7 5.7 5.8 5.6 5.5 5.4
首都圏 6.5 7.7 7.5 7.6 8.6 8.7 7.8 7.1 6.5 5.6 5.6 5.9 6.1
地方 7.0 7.6 8.0 8.2 8.7 8.5 7.5 6.5 6.0 5.3 4.4 5.2 6.0
(出所:PSA資料より作成)

 フィリピンの総合インフレ率推移(2012年基準と2018年基準との比較)

2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年  2022年  2023年予  2024年予  2025年予
2018年基準  N.A.   N.A.  5.2% 2.4%  2.4%  3.9%  5.8%  5.8%  3.5%  3.4%  
2012年基準 1.3% 2.9% 5.2% 2.5% 2.6% 4.5% N.A.    N.A.     N.A.     N.A.   
インフレ目標 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4%  2~4%  2~4%  2~4%  2~4% 
(出所:PSA資料などより作成、2023年以降の予想はBSPの2023年9月21日時点)