第3四半期GDP成長率5.9%、東アジア最大級の伸び
9カ月平均5.5%、サービス業7%成長、個人消費5.7%増
2023/11/10
フィリピン統計庁(PSA)は11月9日、2023年第3四半期(7月~9月)および年初9カ月(1月~9月)の国内総生産(GDP)など国民勘定統計を発表した。アルセニオ・バリサカン国家経済開発庁(NEDA)長官及びPSAのクレア・デニス・マパ次官(国家統計官兼民事登記官)が解説した。
その発表によると、2023年第3四半期のフィリピンの国内総生産(GDP)実質成長率(前年同期比、以下同様)は5.9%で、前年同期の7.7%からは鈍化したが、前四半期の4.3%からは大幅に加速した。そして、民間エコノミストらによる直前予想コンセンサス(中間値)の4.9%を上回った。ただ、政府の2023年の年間目標6.0~7.0%の下限を僅かながら下回った。今第3四半期のGDP成長率を発表した東アジアの主要国の中でも、これまでのところ、フィリピンが最も高い伸びを見せており、ベトナム(5.3%)、インドネシア(4.9%)、中国(4.9%)、マレーシア(3.3%)を上回っている。
セクター別成長率はサービス産業が6.8%、鉱工業が5.5%、農林水産業が0.9%といずれもプラス成長であった。個別では、建設業の14.0%、金融・保険業の9.5%、卸小売業・自動車バイク修理業の5.0%、などが全体の成長を支えた。
支出・需要面では、内需の家計最終消費支出(HFCE)が5.0%増加、政府最終消費支出(GFCE)が6.7%増加した。外需の輸出は2.6%増加した。一方、総資本形成(GCF)は1.6%減少した。また、GDPのマイナス勘定となる輸入は1.3%減少した。海外からの純所得(NPI)が112.5%増と急増したことで、国民総所得(GNI)成長率は12.1%に達した。
これらの結果、2023年9カ月間(1月~9月)のGDP成長率は5.5%で、前年同期の7.7%からは鈍化した。そして今年の政府成長率目標6.0~7.0%の下限を下回る推移となっている。9カ月間のセクター別成長率は農林水産業が1.1%(前年同期0.8%)、鉱工業が3.7%(同7.4%)、サービス業が7.0%(同9.0%)。
9カ月間の支出・需要面では、家計最終消費支出(HFCE)が5.7%増加、政府最終消費支出(GFCE)が1.1%増加、総資本形成(GCF)が3.3増加%、輸出が2.7%増加した。一方、GDPのマイナス勘定となる輸入は1.1%増加した。海外からの純所得(NPI)が96.5%増と急増したことで、国民総所得(GNI)成長率は10.2%(同10.1%)に達した。
産業・支出別実質GDP成長率(年率)の推移(2018年基準:単位:%)
(出所:PSA資料より作成、産業/支出構成比:対GDP)
フィリピンのGDP実質成長率の推移と目標(2018年基準、単位:%)
(出所:フィリピン統計庁資料より作成、目標は2023年6月9日のDBCC設定数値)
その発表によると、2023年第3四半期のフィリピンの国内総生産(GDP)実質成長率(前年同期比、以下同様)は5.9%で、前年同期の7.7%からは鈍化したが、前四半期の4.3%からは大幅に加速した。そして、民間エコノミストらによる直前予想コンセンサス(中間値)の4.9%を上回った。ただ、政府の2023年の年間目標6.0~7.0%の下限を僅かながら下回った。今第3四半期のGDP成長率を発表した東アジアの主要国の中でも、これまでのところ、フィリピンが最も高い伸びを見せており、ベトナム(5.3%)、インドネシア(4.9%)、中国(4.9%)、マレーシア(3.3%)を上回っている。
セクター別成長率はサービス産業が6.8%、鉱工業が5.5%、農林水産業が0.9%といずれもプラス成長であった。個別では、建設業の14.0%、金融・保険業の9.5%、卸小売業・自動車バイク修理業の5.0%、などが全体の成長を支えた。
支出・需要面では、内需の家計最終消費支出(HFCE)が5.0%増加、政府最終消費支出(GFCE)が6.7%増加した。外需の輸出は2.6%増加した。一方、総資本形成(GCF)は1.6%減少した。また、GDPのマイナス勘定となる輸入は1.3%減少した。海外からの純所得(NPI)が112.5%増と急増したことで、国民総所得(GNI)成長率は12.1%に達した。
これらの結果、2023年9カ月間(1月~9月)のGDP成長率は5.5%で、前年同期の7.7%からは鈍化した。そして今年の政府成長率目標6.0~7.0%の下限を下回る推移となっている。9カ月間のセクター別成長率は農林水産業が1.1%(前年同期0.8%)、鉱工業が3.7%(同7.4%)、サービス業が7.0%(同9.0%)。
9カ月間の支出・需要面では、家計最終消費支出(HFCE)が5.7%増加、政府最終消費支出(GFCE)が1.1%増加、総資本形成(GCF)が3.3増加%、輸出が2.7%増加した。一方、GDPのマイナス勘定となる輸入は1.1%増加した。海外からの純所得(NPI)が96.5%増と急増したことで、国民総所得(GNI)成長率は10.2%(同10.1%)に達した。
産業・支出別実質GDP成長率(年率)の推移(2018年基準:単位:%)
項目 | 構成比 | 四半期成長率 | 累計成長率 | |||||||
年 | 23年 | 2022年 | 2023年 | 22年 | 23年 | |||||
期間 | Q3 | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | Q1 | Q2 | Q3 | 1 - 9月 | |
GNI(国民総所得) | 100.0 | 10.5 | 9.4 | 10.6 | 9.3 | 10.0 | 8.6 | 12.1 | 10.1 | 10.2 |
GDP(国内総生産) | 89.0 | 8.0 | 7.5 | 7.7 | 7.1 | 6.4 | 4.3 | 5.9 | 7.7 | 5.5 |
NPI(海外からの純所得) | 11.0 | 102.7 | 66.8 | 95.1 | 59.9 | 82.4 | 90.7 | 112.5 | 86.6 | 96.5 |
産業別 | ||||||||||
農林水産業 | 8.1 | 0.2 | 0.2 | 2.1 | -0.3 | 2.2 | 0.2 | 0.9 | 0.8 | 1.1 |
鉱工業 | 26.7 | 10.0 | 6.3 | 5.8 | 4.6 | 4.0 | 2.1 | 5.5 | 7.4 | 3.7 |
鉱業 | 0.6 | 20.4 | -6.8 | 10.2 | 1.8 | -2.2 | -2.9 | 4.5 | 6.4 | -0.8 |
製造業 | 15.4 | 9.4 | 2.3 | 3.9 | 3.9 | 1.9 | 1.1 | 1.7 | 5.3 | 1.5 |
電気/水道/廃棄物処理業 | 3.8 | 5.6 | 5.4 | 4.1 | 5.7 | 7.2 | 4.7 | 7.0 | 5.0 | 6.3 |
建設業 | 7.0 | 13.1 | 18.7 | 11.4 | 6.2 | 11.1 | 3.6 | 14.0 | 14.8 | 8.9 |
サービス産業 | 65.1 | 8.4 | 9.2 | 9.3 | 9.8 | 8.4 | 6.1 | 6.8 | 9.0 | 7.0 |
卸小売/自動車バイク修理業 | 21.2 | 7.0 | 9.7 | 9.1 | 8.8 | 6.8 | 5.2 | 5.0 | 8.7 | 5.6 |
運輸保管業 | 3.8 | 26.2 | 27.6 | 24.5 | 18.9 | 14.6 | 17.5 | 11.6 | 26.0 | 14.4 |
宿泊飲食サービス業 | 1.8 | 20.5 | 30.9 | 41.8 | 36.7 | 27.8 | 27.2 | 20.0 | 30.2 | 25.0 |
情報通信業 | 3.0 | 7.3 | 10.6 | 7.7 | 6.2 | 4.7 | 3.7 | 4.4 | 8.7 | 4.2 |
金融/保険業 | 10.4 | 7.9 | 3.7 | 7.9 | 9.3 | 8.8 | 5.3 | 9.5 | 6.4 | 7.8 |
不動産/賃貸業 | 5.9 | 5.9 | 4.4 | 3.6 | 7.4 | 3.2 | 2.9 | 4.2 | 4.6 | 3.4 |
専門/業務サービス業 | 6.9 | 8.6 | 8.4 | 9.6 | 9.8 | 7.8 | 6.7 | 6.6 | 8.9 | 7.0 |
公務/国防/義務的社会事業 | 4.6 | 0.8 | 9.6 | 0.7 | 3.7 | 1.5 | -2.4 | 3.6 | 4.1 | 0.6 |
教育 | 3.9 | 8.6 | 5.5 | 5.9 | 10.0 | 6.6 | 6.9 | 6.1 | 6.6 | 6.6 |
保健衛生/社会事業 | 1.9 | 1.7 | 1.5 | 5.0 | 6.3 | 7.7 | 8.3 | 7.1 | 2.7 | 7.7 |
その他のサービス業 | 1.7 | 22.9 | 39.9 | 38.9 | 18.6 | 37.0 | 21.9 | 16.3 | 33.5 | 25.2 |
支出側 | ||||||||||
家計最終消費支出 | 72.9 | 10.0 | 8.5 | 8.0 | 7.0 | 6.4 | 5.5 | 5.0 | 8.8 | 5.7 |
政府最終消費支出 | 14.8 | 3.5 | 10.9 | 0.7 | 3.3 | 6.2 | -7.1 | 6.7 | 5.4 | 1.1 |
総資本形成 | 20.9 | 17.7 | 17.2 | 18.2 | 3.8 | 12.6 | 0.3 | -1.6 | 17.7 | 3.3 |
総固定資本形成 | 22.0 | 10.9 | 12.5 | 9.6 | 6.0 | 10.9 | 4.0 | 7.9 | 11.1 | 7.3 |
輸出 | 31.1 | 10.6 | 4.9 | 13.6 | 14.6 | 1.0 | 4.4 | 2.6 | 9.7 | 2.7 |
輸入(控除) | 40.1 | 16.2 | 14.5 | 18.5 | 7.0 | 4.7 | 0.2 | -1.3 | 16.4 | 1.1 |
フィリピンのGDP実質成長率の推移と目標(2018年基準、単位:%)
年 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23目標 | 24-28目標 |
伸び率 | 6.3 | 6.3 | 7.1 | 6.9 | 6.3 | 6.1 | -9.5 | 5.7 | 7.6 | 6.0-7.0 | 6.5-8.0 |
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